2009年11月27日金曜日

2つのコベネフィットアプローチの仕組み

                                      2つのコベネフィットアプローチが社会の中で働く仕組みを考えてみよう。

A,B,C,Dは社会に広く普及する横型のコベネフィットアプローチである。

例えば、エコ安全ドライブ、緑のカーテン、省エネナビ、学校省エネプログラム『フィフティー・フィフティー』などだ。

一方、a,b,cなどは縦型のコベネフィットアプローチ、

例えば
バイオガスプラントによるCO2削減と水系への汚濁負荷の削減や
火力発電所の発電効率改善によるCO2削減+大気汚染物質の減少などが挙げられる。

すでに説明しているが縦型のコベネフィットアプローチは、地域や設備に結びついて
CDMの排出権として効果が数値として計測しやすく、
一箇所で比較的大きな削減ポテンシャルが稼ぎ出される
ピンポイントな箇所に絞って確実に温室効果ガスの削減とコベネフィットを稼ぎ出しながら実施される。

一方、横型のコベネフィットアプローチでは、温室効果ガスの削減よりもむしろ
緑のカーテンによる景観や教育効果、
あるいは、
省エネナビを活用した省エネによる
光熱費削減の実感にもとづく支出の削減と家計や家庭の満足感の向上
あるいは
『フィフティー・フィフティー』による財政削減と教育に自由に活用できる財源の創出
子供達を通して家庭や地域への広がりのある省エネ教育によるコベネフィット
など

相乗便益(コベネフィット)への期待にむしろ重点を置くことで
取り組み数量の多さによって、

少量*大多数=大きな削減

によって温室効果ガスを削減していく。

仮に縦型アプローチが
大量*少数=大きな削減(数値計算が可能)
という公式で表せるとしたら

横型アプローチは
少量*大多数=大きな削減量(数値的評価が難しい)
と示すことができるだろう。

しかし、横型と縦型の大きな違いは、
縦型が地域や施設に結びついて実施されるの対して
横型では人や家庭、住宅、学校などのコミュニティーにおいて取り組みが自主的に実施されるため
比較的費用がかからず、しかも教育とライフスタイルの転換による効果によって温室効果ガスの削減効果が継続されやすいというところにある。

図において、A、B、C、Dといった横型のアプローチを積層して取り組んだ
人や地域、コミュニティー、住宅などは、
対策の積層により
必然的に情報発信力や周囲の社会に対して強い影響力を持ち始めることが十分に推測できるので
おのずと社会の環境リーダーとしての機能を持ちはじめるのではないだろうか?

環境リーダーが誕生すれば、おのずと、環境リーダーを中心として
手法や技術がコミュニティーを形成しながら広がっていく

縦型のアプローチが現状排出量緩和的な手法であるのに対して
横型のアプローチは持続的な低炭素社会創造型といえるのかもしれない

共に、総積算量としてはかなり大きな規模での温室効果ガスの削減を実現するが
前者はピーク削減型であり、後者はロングテール削減型であると評価することもできよう。

未来創造型という点で、私は横型コベネフィットアプローチをお薦めする。