2009年7月21日火曜日

5つのエネルギー起源(6)核エネルギー

5つのエネルギー起源の最後の一つが核エネルギーである。

核エネルギーには、核分裂エネルギーと核融合エネルギーの2つがある

核反応について、私は詳しくないが

鉄原子を中心として、

ウランのような鉄原子より重い原子は、
分裂により、より軽い原子となることで安定するのが核分裂で

反対に、水素など鉄原子より軽い原子は融合により
より重い原子となることで安定するという核融合とのこと

原子力発電のような核分裂反応では、核分裂後にエネルギーと共に新たな放射性物質
が誕生してしまう。核融合については、重水素燃料として用いた核融合の場合、核融合後に誕生する原子は、放射能を持たない安全なヘリウムであり、放射性廃棄物の発生が少ないという特徴がある。

太陽のエネルギーの源である太陽の中心部で起きている現象は、水素がヘリウムに変わる熱核融合反応である。

核融合反応は、非常に高温で、高圧な環境が反応条件である。
核融合炉の研究はなされているが実用化の見込みはたっていない。

核エネルギーを太陽エネルギーのフローと比較すると
以下のようになる

太陽エネルギーのフロー
●太陽中心部の核融合反応によるエネルギーが起源
●太陽中心部で発生したエネルギーは、ガンマ線に変わり、それが、太陽内部を通過しながら、少しづつ温和な電磁波に変わり、数十万年かかってようやく太陽表面にたどり着き、赤外線、可視光線、紫外線、X線になって宇宙空間へと放出されるたもの。
●地球では、地球をとりまく大気によってX線はそのほとんど、紫外線の90%はオゾン層で、可視光、赤外線の約4割が大気中での反射・散乱・吸収によって減衰されている。
●太陽風と呼ばれる太陽から吹き飛ばされてきた粒子(プラズマ)は、太陽系外からの銀河宇宙線をブロックしている。
●一方で、地球には磁場がるため、太陽風は直接地球に吹き付けることができず、地球の周りを迂回していく。これにより、地球が、宇宙線や太陽からの粒子から守られている。

原子力エネルギー(私が知っている範囲)
●密閉された原子炉内の核分裂反応
●エネルギーは、熱エネルギーとして、水を直接もしくは間接的に温めることで利用される。
●放射能は、燃料をペレットとして固形化することで飛散を防止。また、原子炉炉体の隔壁により放射線の外部への放射を防止
●臨界後の制御は、中性子を吸収するホウ素の制御棒の出し入れで制御
●核分裂後の高レベル放射性廃棄物と、原子炉補修解体時の炉体など、低レベルの放射性廃棄物が蓄積し続ける。
●高レベル放射性廃棄物に含まれるプルトニウムは、原子爆弾の材料にも転用可能

太陽エネルギーのフロー、原子力エネルギー共に、核反応を起源とする。
太陽エネルギーのフローの場合は、核融合反応が太陽の中心部で起こり、生物に有害なガンマ線などの放射線は、より温和な、赤外線や可視光、紫外線となって地球に到達する。
さらに、生物有害な紫外線や、太陽風として、太陽から地球に到達する粒子のほとんどが、オゾン層や地球の磁場、大気などによって吸収もしくは遮られ、地上に届く太陽光は、放射線や強力で生物に有害な成分の多くを取り除かれた光となっている。だから、地球に生命が誕生し、進化することができた。

一方、原子力エネルギーの場合、放射性の生成物が発生してしまう、核分裂反応を放射線が原子炉外部への漏洩と放射性物質の飛散を防止しながら強烈な核反応エネルギーを、強力で危険な光の状態ではなく、熱エネルギーの形で取り出し、熱エネルギーを電力に変換して利用する仕組みとなっている。少量の燃料で、大量の熱エネルギーを安定的に取り出すことができる点で優れているが、課題として、核分裂反応を地球上で行っているため、常に放射性物質の飛散と放射線の漏洩、燃料としての放射性物質、廃棄物としての放射性物質の管理の問題が付きまとってくる。この理由は、現在の科学技術では、一度、環境へと拡散した放射性物質を、きれいに拾い集めることが不可能であること、放射性物質そのものを何らかの方法を用いて放射線が出ないように完全に無害化する技術は存在していないということ。また、放射線が生物に有害な理由は、放射線が、生物の体を通過するときにDNAを傷つけること。特に、放射性物質が、体内に取り込まれた場合、たとえ1原子でも、常時体内から、放射線を放射し続けるため、体内被曝が継続されてしまうことなどが挙げられる。通常、DNAは、多少の傷なら修復されるように生物の体は自己修復を常に行っているが、DNAの破壊が、修復のスピードを超えると、壊死したり、細胞が突然変異によってガン化することになる。

核エネルギーの中でも原子力エネルギーは核反応が、閉鎖された地球上で行われるという点で、太陽エネルギーのフローと全く異なっている。原子炉と放射性物質の管理を、私達人間が必ず行わなければならないことも特徴の一つである。さらに、生物は一定量以上の放射線には非常に弱いということも付け加えなければならない事実である。そして、放射性物質は、一度、環境に放出されると、自然に減衰を待つ以外、掃除する方法が存在しない。その期間は放射性物質によって異なるが、1秒以下から、数百億年以上のものまで存在する。


これら点を、総合的に考慮すると、原子力発電のような地球上の核エネルギーの利用は、
人間社会によるコントロールと常に一体で考えることが重要なことが良くわかる。

創出されるエネルギーの量は膨大であるが、一方で、一回のミスで発生する損害は人類が二度と取り返すことのできない程の甚大な規模かつ時間となる。グラフに示されるロングテールの積算量ように、事故発生による損害は、修復可能な失敗と比べて遙かに甚大なものとなる。

安全と平和利用の2点の確立と
ヒューマンエラーの管理
蓄積される廃棄物の課題
資源の有限性の問題

問題の種が同居している限り、議論は繰り返し繰り返し行われ続けなければならない。

シュバイツアーの自伝の中に

人道主義は人間をひとつの目的のために決して犠牲にしないことより成り立つ。

という言葉があるそうである。

温暖化の問題は、容易に大儀になりうる課題である。

人類全体のために一人を犠牲にすることも時に、必要である。との議論があったときには

堂々と、言ってやろう!!

一人を犠牲にするような温暖化対策をやっているなら、いつか人類全体も、その温暖化対策に愛想を尽かす時が必ず来るだろう。それは人の道ではないから。

話し合うこと、理解しあうこと、お互いに納得しあうこと、これらのプロセスを通過することなしには、いかなる技術も私達、人と一緒に歩むことは不可能である。














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