2015年3月14日土曜日

持続性の階層的な理解















フューチャーアースという新しい研究枠組みについて環境学ガイドというグループでの議論のために作成した図を紹介します。
持続可能性について、階層的に考え多様なステークホルダーでツールを持ち寄り実行性のある取組を紡ぎあげるための整理です。階層の異なったサステイナビリティ同士のぶつかり合いが、世界中で起きていることを考えると、こういった図を通して課題を冷静に見つめていくことが様々なコンフリクトの解消にもつながってくるのではと期待しはじめたところでもあります。

2012年1月30日月曜日

開発途上のエネルギー

考え方自然エネルギー(再生可能エネルギー)の普及は
先進国においてどのような意味をもつのであろう?

人間開発の政治経済学 アジア経済研究所  野上裕生著 2007年
がちょうど手元に届いた。

この本の序章は
本書は1990年代以降の開発援助の世界で重要な問題提起をしてきた『人間開発報告書(Human Development Report)』が提案する「人間開発(Human Develpment)」という思想が開発協力・開発研究に与える知的インパクトを素材にして開発理論の未来を考察したものである。
で始まる。

この本を開いて感じたことは、自然エネルギー(再生可能エネルギー)という視点では、発展途上国である先進国、いわゆる発展途上国、いずれにしても、地域の自然エネルギー(再生可能エネルギー)に取り組むことは非常に大きな成長のエネルギーを手に入れるということであるということ。そして、その成長を考えるうえで、「人間開発(Human Developmen)」という思想にインパクトを与えられた開発経済の考え方が発展途上国のみならず先進国においても適用可能なのではないかというインスピレーションだ。

あとは、中身を読んで、実際の社会とちょっとずつちょっとずつ照らし合わせながら理解したいと考えています。

サステイナビリティ・チェーン
→アマルティア・セン
→人間開発
→開発経済学の先進国への適用(新しい成長のエネルギーの適正な育成の仕方として「人間開発」概念のインパクトを与えられた開発経済学の考え方を先進国へ適用)




2012年1月28日土曜日

アマルティア・セン博士の経済学の紹介

これまでに紹介しましたエンリック・テリョ博士のサステイナビリティー・チェーンに関する論文に登場したアマルティア・センという人はいったいどんなひとなのだろという疑問から集英社新書のアマルティア・セン著 大石りら訳 「貧困の克服」という本を買ったのが1年以上前。
ペラペラとめくっていたのだが、何が書いてあるのかよく内容が入ってこないで約半年。
なんとなく糸口がつかめそうな気がしてきたのが数か月前のことだ。

本の中で語られる《東アジアの戦略=人間的発展》
このことが
これから大きな社会転換を地球と地域の環境変化からせまれているわたしたちの社会に必要かつ有効な戦略なのではないかと最近私は考えている。

東アジアの経済の発展プロセスとして
セン博士は
○変革の原動力としての基礎教育が重視されていたこと
○教育・人材養成・土地改革・信用供与などによる基本的エンタイトルメント(人々が十分な食料などを得られる経済的能力や資格)の広範な普及
○開発計画において国家機能と市場経済の効用の巧みな組み合わせが行われていたこと
そして、さらに根本的なこととして、これらの地域における成功の土台となったのは、私たちが生きている世界は多種多様な制度から成り立っていること、さまざまな自由がそれらの制度に依拠しているからこそ自助あるいは他者を助ける能力を発揮しうるということ、そういった暗黙の了解なのです。このさまざまな自由のなかには、市場経済の整備とともに社会的チャンスの創出、社会基盤の充実、個人の潜在能力の発展などが含まれます。という注目に値するいくつかの特色があることを指摘しています。

この小さな本から、学ぶだけの力ももたず。あれこれ、押してみては、学びのヒントを得ている程度の私ですが、ここに書かれた、ほんの少しのことが理解できるような気持になってきたただけでも、今できる制度設計のヒントや今どこに予算をさくべきかなどについてとても大きなヒントがそこにあるのではと感じています。そこにはとても当たり前のことがかいてあるのではなかとおもっていますが、それは、とても骨太で丈夫で力のある知恵なのだと私は思っています。


2011年4月16日土曜日

レジリアンス(回復力・復興力)を追加しよう!!




















私たちが、地域で行っている小さなプロジェクト”エコの木プロジェクト”では
これまで、
●省エネ普及指導員を地域に多数養成する地域環境人材育成プロジェクト
●独立型太陽光発電をみんなで学んで太陽エネルギーで電動バイクを走らせるソーラーバイクプロジェクト
●ゴーヤで楽しく、夏を涼しく過ごそうという緑のカーテンプロジェクト
を実施しています。

その取組みの中での東日本大震災が発生しました。
東日本大震災から1か月以上が過ぎ、これまでの活動を復帰させるにあたって今考えることは
現在の経験とこれまでの活動をどのように結び付け
改めて、自分達の活動をどのように意味のあるのものにしていくかということです。

この絵はまだ、皆で議論したわけではない、まだ方向性という書き方になっている図です。
今回の震災を受け、被災した地域、被災した日本、被災した社会が、改めてそれぞれの進路を模索する時に、何か考えるきかっけになればと思ってのせてみることにしました。
持続力の延長線上には生態系の回復力・復興力(レジリアンス)が存在し、それらは、私達の世界に様々な形で人的・社会的、物的な”ばね”として蓄えられています。それらは身近な家族や地域の中にも存在し、あるいは遠く離れた異国の地域に存在することもあります。
レジリアンスは生態系(世界)に何らかの大きな衝撃・変化が発生すると、ばねのようにはじけて、様々なパスを通り、その勢いを活用して、速やかに回復のベースを構築していくのではないかと思います。
サステイナビリティ・チェーンはそのパスの一つともとらえることができそうです。
災害が発生したとき、そのパスが確認され、蓄えられたばねの力が伝達されます。
ばねの力には、速やかに機能する即効性のばねと、ゆっくりと芽を出す緩効性のばねがあるのかもしれません。
何はともあれ、せっかく植えたエコの木を、さらにしっかりと育てて、社会の回復力を担えるように育てていくことが私達の務めであると感じつつあります。
ゆっくりですが、少しずつ前進です!!



2011年3月26日土曜日

サステイナビリティ・チェーンの活用












 バルセロナ大学のエンリック・テリョ教授の論文の”サステイナビリティ・チェーン”という考え方(視点)をわかりやすい(?)図にしてみました。私達ひとり一人は、自然のシステム、家族、コミュニティー、国家(行政)、市場といった様々なサスティナビリティーに必要に応じてアクセスしながら日々を生きている。ここで、大きなツナミによって自然のシステム、家族、コミュニティーとの絆が断たれてしまった時。テリョ教授は、ツナミ災害によって複数のサステイナビリティーとのチェーンが同時に断たれてしまった状態であると定義している。
 東北関東大震災においては、一人ひとりの私に国家(行政)や市場、多くの拡大されたコミュニティー(ボランティア等)からの支援の輪が広がっている。一方、地震・ツナミは一定の収束状態に入れば、耕作や漁業の再開、観光事業など再び、ひとり一人の私と自然システムとのアクセスは回復状態に移ることが可能である。通常の自然災害の場合、自然システムへのアクセス回復は数週間から数か月、あるいは数年程度であると考えられる。しかし、原子炉災害が加わった連鎖的複合災害である、今回の震災の場合、自然システムへのアクセスの回復までの期間の見通しがいまだ立たないことに復興の妨げとなる非常に大きな問題が生じている。
 サステイナビリティ・チェーンは、私達一人ひとりが、自らの外に存在する多くのサスティナビリティーとの間にもともと存在しているつながりが傷ついたり遮断されたりしてはいないかを再確認する上で重要であり、その為には、一つ一つのサステイナビティーとのつながりの注意深い観察(サスティナビリティー・チェーンの注意深い観察)が大切であることをテリョ教授は指摘している。
 今回の震災のような長期化が予想される一人ひとりの復興までの道程を、私達一人ひとりがあるいて行く中で、一人ひとりや一つ一つの地域のサスティナビリティー・チェーンの注意深い観察の繰り返しが、震災にあった地域の人、直接震災で被災しなかった地域の人にとっても、一人ひとり全員の復興のための大切な道程となってくるのではないかと思う。

2010年4月24日土曜日

改良された新「環境研究・技術戦略」の図を使ってできること




















改良された新「環境研究・技術戦略」の図を使ってできること

例えば
成人用紙おむつのお話

成人用紙おむつの需要は高齢化社会が進むにつれて益々高くなる
領域⑤(将来に渡って安心して暮らせる社会)

成人用紙おむつは、現在のところ吸水ポリマーを使った非循環型の製品がほとんど
途上国など世界中で使い捨て紙おむつはさらに増加傾向にあり、そのほとんどが焼却もしくは埋め立て処分、家庭ごみから生ゴミ・紙おむつ類を除けば殆どが紙とプラスチック類の乾いたゴミ、
生ゴミはコンポストなど減量化できるなど処理系が確立している、
しかし紙おむつ類はまだ
領域③循環型社会②脱温暖化社会

成人用紙おむつ類には、乳幼児用とは違い、糖尿病の薬、抗生物質など、患者、高齢者が日常服用している化学物質が含まれている場合が多い。このため水処理系で処理する場合、これらの化学物資が水系に流れ出さないように配慮することが必要。
①安全を確保される社会④自然共生社会

このように、高齢化社会の影響の中には
環境研究の一環として取り扱わなければならない課題も多く発生してくることが予想される
そのれゆえに
領域⑤に示した将来に渡って安心して暮らせる社会というビジョンが重要なのだ。

さまざまな課題を分野横断的な視点から分析し
対策や研究を総合的に実施していくためには
常に全体像を把握し、
解決すべき部分に焦点を定めながら研究を行っていく必要がある

森を見て、木を見て、また森を見る。

この繰り返しを
改良された新「環境研究・技術戦略」の図は可能にしてくれる。

また、この俯瞰と集中の作業を繰り返し行うことで
様々な主体とのと協働と連携も生み出せれよう
そうした協働の積み重ねが、
文理融合型の優れた研究をたくさん生み出してくれるのではないだろうか?



将来に渡って安心して暮らせる社会

























新「環境研究・技術戦略」の図の策定にあたっては、安全・安心社会の位置づけをどう考えていくのかについていろいろと議論が交わされ、安全が確保される社会にまとまってきたことが、会議の議事録から読み取れる。
しかし、高齢化社会に対する対応や気候変動の適応策といった、
絶対に起こるとは限らない問題が含まれる課題に対しての位置づけを整理していくためには、不安と安心という人間にとって切っても切れない心理的な視点の位置づけを避けることはできないであろう。

そこで、上図のように、
⑤将来に渡って安心して暮らせる社会
という領域を新たに加えて考えてみた。

将来に渡って安心して暮らせる社会に対応するのは、
元の図の中にある持続可能な社会という概念であるが、
持続可能な社会を組み上げ、
その構成要素としての

①安全が確保される社会
②脱温暖化社会
③循環型社会
④自然共生社会
⑤将来に渡って安心して暮らせる社会

を俯瞰的に見ながら

『新たなことに挑戦しながら学ぶ』という視点を忘れずに
前進することで

活力の維持と相乗密度の向上
さらには社会との協働のとれた
蓄積効果の生じる環境研究・技術戦略が
誕生するのではないだろうか?

これで何とかいけるかな?

追)図を眺めてかんがえていた。

環境技術の開発・研究安全の確保プロセスや議論・情報の公開による社会とのやりとり(将来的な安心な暮らしの確保)という思想をできるかぎり沢山の研究にプラグイン!!
将来的リスクの軽減(対処技術から予防技術へ)+社会浸透度の加速(失敗も成功も社会で共有、社会全体で次に繋げていこう!!)⇒失敗から学んだことをどんどん次世代に繋げていこう!!

といった議論もあったら素晴らしいのにな・・・・。


2010年4月19日月曜日

新『環境研究・環境技術開発の推進戦略』のお話し








ニュースアラートを見ていたらどこかで見たことのある図

微妙には違うが、まさしく

茨城大学ICASの作った『サスティナビリティー学をつくる』の中にあったあの図だ!!

図の出展は

中央環境審議会総合政策部会
環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第10回)

議事次第・配付資料 平成2248()

http://www.env.go.jp/council/02policy/y026-10.html

http://www.env.go.jp/council/02policy/y026-10.html

低炭素社会学でも発展的に活用しているが

ここに示されている脱温暖化社会は


低炭素社会(気候変動緩和社会)と気候変動適応社会を統合した社会像

低炭素社会よりも、より社会安定性を増した定義だ!!


国内でのコベネフィットアプローチの議論も

少しずつ公害対策型の従来のコベネフィットアプローチから抜けだし始めている。

少しずつ前進!!

公害対策型のコベネフィットアプローチを抜けて、

5年後に

便利でしかも長く重宝されるような

持続可能な社会創出型のコベネフィットアプローチが

広がっていくのを楽しみにしたい。

2010年3月26日金曜日

移動図書館(エコの木プロジェクト)






































エコの木プロジェクトの移動図書館
ブリヂストンと早稲田大学が協力して運営しているW-BRIDGEという産学連携プロジェクトの協力で
地元商工会 エコの木プロジェクト部会が開設した
お古の小型のスーツケース1個に収めた小さな移動図書館

地元の小学校で約10日間
現在は茨城県城里町のエコ・グリーンショップ”響”で
活躍中です。

混ぜて植え、競争して育む低炭素社会

小さな取り組みですが
たくさんの視点から眺めたエコの取り組みを
本を通じて
時間をかけて感じてもらえたら幸いです。

移動図書館
貸し出しも可能ですので是非お声がけ下さい!!


2010年3月24日水曜日

混ぜて植え、競争させながら育む低炭素社会づくり





















これは
100年かかる本物の森をたった20年で育てる宮脇方式に
ヒントを得て考え出したアイデア

『世界を変える百人の日本人』という番組で、―世界で一番木を植えた男―として紹介されていた。

そのテレビを家族で見ていて、何となく気になって

後で考えをまとめてみた。

スライドは、それを整理したもの。


宮脇方式では、地域に本来自生する潜在自然植生に着目し、種から苗を育てあげ、それらをできるだけ混ぜ合わせ、主木となる樹種を中心に密植して植えつける。

植物にとっては、他の個体と混在し、それぞれが競争しながら成長するのが健全で自然な姿。密植による過密な競争状態の中で苗木は活性化し森全体としての成長速度が高まる。

ポイントはいくつもあるが、その地域の潜在自然植生を1年前から調べて、できるだけその地域の樹種の種子をできるだけ近くの鎮守の森などの本物の森で集め、ポットの中で1年半から2年間育てられ植樹される。

植樹された苗はワラなどでマルチングされ、2,3年は草取りなどの世話が必要ですが、3から5年たつと限られた空間の中で、密度効果によって確実に育っていく。

5年から10くらいは樹木は密生していますが、やがて15年から20年たつと自然の競り合いの中で生き残った森の主役の高木はどんどん育っていき、亜高木はその下で、低木はさらにその下に育ち樹種の特性に応じて高木、亜高木、低木、下草の自然の森のシステムができあがっていきます、枯れた木床で落ち葉などとともに分解され、地球資源として森の発展に寄与していきます。
(木を植えよ!宮脇昭著 新潮選書から要約)

このようにして植えられた潜在自然植生は本物の森として育つ
本物の森の特徴は、

●根がしっかりと張り災害に強い
●手間がかからない
●半永久的に茂り続ける
など

100年かかる森作りをたった20年で・・・・・
災害に強く半永久的に茂り続ける・・・・・・

あれれ 何かに似ているような気がしてきた。

この仕組みを、低炭素社会をつくるというプロセスに当てはめて考えてみることはできないだろうか?

たった40年という短い期間で温室効果ガスを80%削減・・・・
気候変動への適応策も含めた持続可能な社会の構築・・・・

ホント なんとなく似ているような気がします。

添付のスライドは、まだまだ色々な発想を生み出す可能性を秘めているような気がします。

混ぜて植え
競争させながら育むことで
もしかしたら10年~20年後には
持続可能な低炭素社会が
案外手際よく
実現できるのではと
期待してしまいます









低炭素社会学 第2部について

第1部において、低炭素社会を作るための基礎的な知識の整理を行ってきた。

5つのエネルギー起源は、
日々の生活をエネルギーの視点から見つめ直す
強力なツールである。

家庭の一つのコンセントから流れ出る電力が、
いったいどのような起源を持つエネルギーなのか
火力、水力、原子力なのか

7色の虹のように
その起源をたどればいくつかのエネルギー起源が集まって
コンセントから流れ出ているのだ。

その中から、使いたい電力と使えない電力を区別して
可能な範囲で、できるところから置き変えて行くこと

エネルギーが発生するプロセスを理解していくことで
その希少性に気がつき、是非とも節約したいと思えてくれば
たいしたものだ!!

第1部後半からすでに突入しているのだが
低炭素社会学は、
低炭素社会をつくるという
とても大きなテーマを抱えて誕生してきた

第2部では
この大きなテーマを実際にやり遂げるための
様々な視点を、行動しながら考えていくことにしよう!!






2009年11月27日金曜日

2つのコベネフィットアプローチの仕組み

                                      2つのコベネフィットアプローチが社会の中で働く仕組みを考えてみよう。

A,B,C,Dは社会に広く普及する横型のコベネフィットアプローチである。

例えば、エコ安全ドライブ、緑のカーテン、省エネナビ、学校省エネプログラム『フィフティー・フィフティー』などだ。

一方、a,b,cなどは縦型のコベネフィットアプローチ、

例えば
バイオガスプラントによるCO2削減と水系への汚濁負荷の削減や
火力発電所の発電効率改善によるCO2削減+大気汚染物質の減少などが挙げられる。

すでに説明しているが縦型のコベネフィットアプローチは、地域や設備に結びついて
CDMの排出権として効果が数値として計測しやすく、
一箇所で比較的大きな削減ポテンシャルが稼ぎ出される
ピンポイントな箇所に絞って確実に温室効果ガスの削減とコベネフィットを稼ぎ出しながら実施される。

一方、横型のコベネフィットアプローチでは、温室効果ガスの削減よりもむしろ
緑のカーテンによる景観や教育効果、
あるいは、
省エネナビを活用した省エネによる
光熱費削減の実感にもとづく支出の削減と家計や家庭の満足感の向上
あるいは
『フィフティー・フィフティー』による財政削減と教育に自由に活用できる財源の創出
子供達を通して家庭や地域への広がりのある省エネ教育によるコベネフィット
など

相乗便益(コベネフィット)への期待にむしろ重点を置くことで
取り組み数量の多さによって、

少量*大多数=大きな削減

によって温室効果ガスを削減していく。

仮に縦型アプローチが
大量*少数=大きな削減(数値計算が可能)
という公式で表せるとしたら

横型アプローチは
少量*大多数=大きな削減量(数値的評価が難しい)
と示すことができるだろう。

しかし、横型と縦型の大きな違いは、
縦型が地域や施設に結びついて実施されるの対して
横型では人や家庭、住宅、学校などのコミュニティーにおいて取り組みが自主的に実施されるため
比較的費用がかからず、しかも教育とライフスタイルの転換による効果によって温室効果ガスの削減効果が継続されやすいというところにある。

図において、A、B、C、Dといった横型のアプローチを積層して取り組んだ
人や地域、コミュニティー、住宅などは、
対策の積層により
必然的に情報発信力や周囲の社会に対して強い影響力を持ち始めることが十分に推測できるので
おのずと社会の環境リーダーとしての機能を持ちはじめるのではないだろうか?

環境リーダーが誕生すれば、おのずと、環境リーダーを中心として
手法や技術がコミュニティーを形成しながら広がっていく

縦型のアプローチが現状排出量緩和的な手法であるのに対して
横型のアプローチは持続的な低炭素社会創造型といえるのかもしれない

共に、総積算量としてはかなり大きな規模での温室効果ガスの削減を実現するが
前者はピーク削減型であり、後者はロングテール削減型であると評価することもできよう。

未来創造型という点で、私は横型コベネフィットアプローチをお薦めする。

2009年10月28日水曜日

コベネフィット・アプローチの2つの方向性



コベネフィット・アプローチには2つの方向性がある。
一つは縦型の方向性、コベフィットCDMに見られる一般的な温室効果ガス削減手法だ!

この場合温室効果ガス削減を主に置き、最も効果的な削減ポイントに対してピンポイントに対策を行う。この場合コベネフィットは従となる。

一方、横型のコベネフィット・アプローチとは、社会への普及度の高いアプローチを通して、単体では少量ではあるが、積算量としては大規模な削減を目指すアプローチである。

この2つのアプローチは、2つの方向性から共に実施する必要のあるアプローチであるが、長期的かつ自立的な効果の点で、(横)積層型コベネフィット・アプローチの展開をこらからは積極的に検討・展開していくことが有効な温室効果ガス削減手段となってくると私は考えている。

縦型アプローチと横型アプローチの大きな違いは、縦型アプローチが施設や地域に結びつくピンポイント型のアプローチであるのに対して、横型アプローチが、人やコミュニティーに結びついて展開されるアプローチであるということだ。

様々な横型アプローチが展開されていくことで、教育効果や居住環境への手法の積層効果が生まれる。

効果が、人的資源の成長や生活の質の向上として蓄積されてくるため、自律的かつ長期的に継続されうる。

また消費の質の転換を生み出し、新たな低炭素経済の基盤づくりにも影響を及ぼす可能性も考えられる。

2つの異なる方向性だが、縦型は緊急性、横型は緩速ではあるが積層効果による対策のリバウンド効果の減少と積層の相互作用による良質の相乗効果が期待できる。

共に重要な対策手法として位置づけていくことが重要である。





2009年10月3日土曜日

コベネフィット・アプローチを活用したグリーン普及の経済モデル

コベネフィット・アプローチを活用したグリーン普及の経済モデル

開発途上国と先進国との間で結ばれるCDM(クリーン開発メカニズム)で
徐々に定着しつつあるコベネフィット・アプローチ

コベネフィット・アプローチとは、温室効果ガスの削減同時に
雇用の創出など、開発途上国の抱える課題を同時に解決していく
多重便益の同時実現を狙った手法・・・

要するに、1つの取り組みで2つ以上の効果が得られることをコベネフィットという

コベネフィットアプローチは従来、開発途上国を対象としたCDM用語として用いられること多いが

”低炭素社会学”で提案したいのは、世界中のどんな社会をも対象に
コベネフィット・アプローチが使えるのではないかという提案!!

最近発見したコベネフィット

エコ安全ドライブで、燃費アップと交通事故が減少

エコドライブによる省エネという低炭素の取り組みと
交通事故の減少と言う安全・安心の取り組みが結びつき
それらが、経済的にも、お客さんから喜んでもらえる取り組みとしても成果として
結び付けることができる損害保険協会が実践的に社会に提案していることで
企業にどんどん広がっているとのこと

グリーンと経済の自発的かつスピードをもった普及

ヒントの一つがここに隠されているようです。

エコ安全ドライブキャンペーンを行っている日本損害保険協会の会員の
日本興亜損保では、2009年4月からエコ安全ドライブインストラクター制度を創設し
社員や代理店に研修を実施し、終了テストに合格した社員・代理店を
エコ安全ドライブインストラクターとして認定するそうである。

社内制度ではあるが、エコ安全ドライブインストラクトという”グリーンジョブ”を
独自に誕生させ、企業活動として、エコ安全ドライブを企業に普及させ、輸送系の化石燃料の節約と
本業である交通事故の減少を同時に実現させている。

エコ安全インストラクトという仕事が、今後どのような展開をしていくことになるのかはまだ良くはわからないが
保険の営業マンの新しい仕事の一つや、自動車学校の新しい教習の一つとして定着してくることは想像に難くない。
また、エコ安全講習を定期的に受講している企業に対しての自動車保険料の割引サービスなどが誕生してむることも期待できる。

温室効果ガスの削減という目に見えづらいベネフィットを、
例えば

●安全による保険料の割引や、
●交通事故発生発生による企業リスクの低減、
●燃料節約による経費削減効果

などの”見える化”しやすいコベネフィットと結び付けることで
補助金等を必要とせず自発的に取り組みを進めていきやすい
経済的インセンティブのあるコベネフィットアプローチとして発掘し
活力のある経済活動の維持とと創出に結び付けていけるのではないでしょうか?

私達の身の回りの世界の中には、まだまだ、隠れたコベネフィットアプローチがたくさん隠されているような気がします。

それらを、大勢の手で発掘し、かき集め、ベストプラクティスとして社会に広く浸透させ
同時に世界のベストプラクティスを待っているコミュニティーに対して発信していくことが大切ではないでしょうか?

良質なコベネフィットアプローチの普及は、化学でいうラジカル反応のようなものではないかと私は考えています。

すでに、下地の整っている社会に対して、最もよいと思われるやり方であるベストプラクティスを導入すると、
そのベストプラクティスは口コミで瞬時に社会全体に広がると言うことです。

今年、地域でゴーヤの緑のカーテンに取り組みましたが、もともと野菜や植物を育てることが風土として定着している農村地域では、苗を、少し多めに買って配っただけで次々と広がっていきました。
苗を渡された本人ではなくて、おじいちゃんやおばあちゃんなど、苗を育てることのできる誰かがそれぞれの家庭にいるという環境が比較的そろっているという土壌があったため、ほんのちょっとの取り組みのきっかけができただけで緑のカーテンの取り組みがひとりでに広がっていったのではないかと分析してみました。
このほんのちょっとのきっかけづくりと、人から人へ次々と起こる取り組みの伝達が、電子の受け渡しによって瞬間的に反応が次々と全体に伝達されるラジカル反応によく似ているなと考えました。

コベネフィットアプローチの可能性は、まだまだたくさんあるような気がします。

是非皆さんも、身近なコベネフィットを発見してみてください!!





2009年8月3日月曜日

グリーンニューディールについて考える(2)

グリーンニューディールについて考える上で重要なのが
世界中のあらゆる地域でグリーンニューディールが実践されることを提唱する
グローバルグリーンニューディールという発想だ!!

グローバルグリーンニューディールについて考えていく場合
2つの視点で考えることが重要だ!!

一つは、グローカルな視点
もう一つはグローバルな視点

持続可能な低炭素社会や持続可能な社会を考えた時、低炭素、循環型、自然共生、安全安心という社会像を用いて、資源の節約、エネルギーの節約、地域の自然との共生環境修復、トレーサビリティーの確保できる安全安心、フードマイレージを考慮した間接的エネルギー削減などの方向性は、世界の問題を自らの問題として内部化した上でローカルな取り組みが合理的であるという結論に帰着する。

一方で現状の世界経済を見るように、産業社会はグローバル化し、様ざまな生産活動は、より労働生産性や資源利用の効果的な地域に集約してくる。このことは、グローバルグリーンニューディールについて考える上でも考慮しなければならない問題である。

グリーンニューディール(1)で議論した、中長期的なタイムフレームで、誕生してくる持続可能な低炭素経済の実質は、先のグローカルな経済システムにより近いものとなってくるのではないかと私は考えるが、一方で、より短期的なタイムフレームの、持続可能な低炭素社会のインフラ整備においては、グローバル化した現状の社会システムを最大限有効に活用することも大切なことであろう。

グローバルグリーンニューディールにおいて今後議論されなければならない論点は、このグローカルな世界観とグローバルな世界観という対照的な2つの世界観が共存している世界の中で、いかに、両者を活用した合理的な解を導き出せるかにかかっている。それによって、世界経済の中に何らかの流れが形成され、より多くの賛同を得られることでポジティブなフィードバックがかかってくることが望ましい。フィードバックを支える理解がグローバルグリーンニューディールである。

現段階では、
○現状の経済の維持、
○中長期のタイムフレームの持続可能な低炭素社会づくりの取り組み、
○現状経済の活かしていくことで持続可能な低炭素社会づくりの基盤整備を行っていくということが

十分に、整理されていないため、一方で高速道路を無料化し、一方でエコカーへの乗り換えでCO2の削減を行うという矛盾した施策が次々とニューディールというキーワードを用いて実践されつつある。

こうした中で、持続可能な低炭素社会づくりの基盤整備のためにエコカーの普及は、将来的にもさらに継続発展させていく。一方で、高速道路の無料化については、渋滞を緩和しCO2排出量を削減することに繋がるという区間については検討する必要があるだろうが、むしろ、バスは、鉄道などの公共輸送機関の低料金化、(例えば、一律、1日1000円のフリーパスチケットや、月、1000円や2000円の定期券など)といった、CO2排出を削減し、国民の便益を向上させる効果の持続するフィードバックの生まれる別の大胆な施策を打ち出すことも有効であろう。

取り組みの内容を整理して、合理的に展開するためにはどうしたらよいかの検討を繰り返していくことで、徐々に、現実に即したより合理的な構造化も実現してくるだろう。そして、このことは同様に世界全体での取り組みとしてのグローバルグリーンニューディールにおいても言える事である。必ずしも、技術開発によって世界の覇者になる必要はなく、競争によってより良いものを開発し、世界の人と協力しながら、できるだけ早く、そういった技術を普及させ希望を生み出すこと。技術だけでなく、技術を通して、サステナビリティーというメッセージを、届け続けること。そのメッセージが届いた地域やコミュニティー、人々の地域に根ざした生活が、さらに100年続けられるように常に考え続けること、同じように、自分達の生活が100年続くようにするにはどうしたらよいのかを考え続けること。

技術を普及させたり、モノを売ることを通して、
世界の様ざまな地域の人々を、その技術やモノの虜としようとするのではなく、
技術やモノを通して、持続性についての精神を伝え続けてくれている、
その取り組みに対して感謝をしてもらえるような取り組みをしていきたい!!

一青窈という歌手にハナミズキという曲がある

この歌詞聞いていて、『100年つづきますように♪』 という所に、サステナビリティーの本質のようなものを感じた。

100年続くことを祈る心、100年続く人と人や社会と社会とのつながりの間には、
よきもあしきもあらゆることを私達は経験していくことだろう。
それらの経験を受け入れ
消化し、乗り越えていくことで
100年のつながりは、鍛えられ
経験を蓄え、お互いにお互いを受け入れながら
成長し持続する。

それらの中には、知らず知らず時間をかけた内部化のプロセスが含まれている。

多様な文化や地球環境問題という要素を抱えた
グローバルグリーンニューディールに関して、
その多様さと広がりの大きさに圧倒され
まだまだ想像の始まりに到着したばかりという感触だ!!


百年の”いのち”を生きる
ボストンの桜のお返しのハナミズキ

世界の多様な文化が、お互いを尊重しながら持続できる
百年の時間を抱え込める
逞しく育つ樹木のように生きる
グローバルグリーンニューディールを
私達は目指していく必要がある


ハナミズキ 歌詞

 空を押し上げて
 手を伸ばす君 五月のこと
 どうか来てほしい
 水際まで来てほしい
 つぼみをあげよう
 庭のハナミズキ

 薄紅色の可愛い君のね
 果てない夢がちゃんと
 終わりますように
 君と好きな人が
 百年続きますように

 夏は暑過ぎて
 僕から気持ちは重すぎて
 一緒にわたるには
 きっと船が沈んじゃう
 どうぞゆきなさい
 お先にゆきなさい

 僕の我慢がいつか実を結び
 果てない波がちゃんと
 止まりますように
 君とすきな人が
 百年続きますように




 ひらり蝶々を
 追いかけて白い帆を揚げて
 母の日になれば
 ミズキの葉、贈って下さい
 待たなくてもいいよ
 知らなくてもいいよ

 薄紅色の可愛い君のね
 果てない夢がちゃんと
 終わりますように
 君と好きな人が
 百年続きますように

 僕の我慢がいつか実を結び
 果てない波がちゃんと
 止まりますように
 君と好きな人が
 百年続きますように

 君と好きな人が
 百年続きますように













2009年7月30日木曜日

グリーンニューディールについて考える(1)

5つのエネルギー起源のまとめ(3)に入る前に

グリーンニューディールについて考えよう!!

グリーンニューディールは
3つの異なる時間フレームからなる持続可能な(低炭素)社会づくりの取り組みを
全体の展開がスムーズに行われるよう最適化した経済政策手法のこと

1つ目のタイムスパンは、2050年以降まで続く、化石燃料社会から、持続可能な社会への長期のパラダイムシフト、持続可能な低炭素社会づくりはこのパラダイムシフトの基盤となってくる取り組み

2つ目のタイムスパンは、実質的な低炭素経済が誕生するまでの中期の転換。低炭素経済は、単に、モノを製造したり、サービスを供給するだけでなく、それらのサービスを対価を支払っても交換したいと考える低炭素サービスの消費者の3者が、同時にそろって初めて、自然な価値の交換が行われる。
このような、生産と消費の量が社会や生活を成り立たせ得るだけの一定以上の規模に達し、同時に、現在の拡大と成長に依存しなければ成り立たない経済がスローダウンし、十分に低炭素経済が成長してきたことが認識されるまでの15年~30年間といった中期的な取り組みの内、低炭素経済の芽を育て始める作業

3つ目のタイムスパンは、1つ目のパラダイムシフトの取り組みと、2つ目の持続可能な低炭素経済の芽を育てる作業を、現在の化石燃料社会の仕組みを、そのまま使って応援する取り組み。エコポイントによる家電の買い替えや太陽電池、省エネ自動車、省エネ住宅など、低炭素社会での生活、産業を支えて行くためのインフラともいえる施設や設備を整備するわけである。この仕事は、現在の、経済の仕組みを生かしたまま、生産したり、取り扱ったりする商品や製品を、将来の生活を低炭素で節約型だが、豊かなものにする製品に変えることだけ転換が可能だ!!

20年から30年後には現在の経済は間違いなくスローダウンし、一方でゆっくりだが、堅実な成長を続ける持続可能な低炭素経済が徐々に成長していく。現在活動している多くの企業は、この3番目のタイムスパンの取り組みを企業活動として取り込みながら、CSRなど企業内部の意識改革を実践することで、平行しながら2つ目の低炭素経済への乗換えを果たそうと取り組み始めている。

グリーンニューディールの2つ目の特徴は
グリーンニューディールという経済政策手法が、世界中で同時に採用されつつあるということ。同じ、グリーンニューディールでも、太陽電池産業を成長させたいと考える日本と、広大な国土と多様な自然環境を活かして、風力を中心とする再生可能エネルギーを有効に活用するための、スマートな電力グリッド網の整備と、それら連結するプラグインハイブリッド自動車により国内経済を再生させようとしているアメリカ合衆国、一方、CO2の削減よりも、気候変動による災害の対策と豊かさの実現を最優先していきたいと考える多くの開発途上国のグリーンニューディール。

地域の風土、多様な社会経済状況を抱える地球上の様ざまな国家やコミュニティーが、地球環境問題の存在を知り、どのようにその課題に対処、計画的に取り組んでいくかを内部化し、解決策を実践しはじめた、いくつかの具体的な行動が、日本版グリーンニューディールであり、オバマのグリーンニューディールであると考える。

徐々に、グリーンニューディールの取り組みへの理解が社会に広がり、より合理的な手法の選択が政策の中でも実施されていくことを期待したい。

世界、全体に広がっているグリーンニューディールはグローバルグリーンニューディールとして国連で提唱されている。


つづく
 



2009年7月23日木曜日

5つのエネルギー起源(9)まとめ2


世界の人口動態は現在の68億人から90数億人に膨れ上がる。
現在からみれば、2050年の段階で1.3倍以上の増加だ。

もちろん、2050年までには、世界の生活水準も
現在よりも、より平準化されてくるだろうし、

私達の将来の生活を設計するには、
地球上のエネルギー・資源を、
世界の全住民と平均で割った数字を知っておくことを
基本的な大前提としておかなければならない

その数字を、前提とした上で、地域や文化の特殊性や多様性とのバランスで
その数字が上下するのだと思う。

そのばらつきの幅は、温かい国や地域なら、暖房に使われるエネルギーが少なくなるだろうし
寒い、極寒の地域なら、その寒さの中で人間が、活発に活動をしてくために十分なエネルギーが必要であろう。

添付した図は、2008年5月に行われた第2回つくば3Eフォーラムの報告書から引用したものだが
スウェーデン ベクショー大学教授 Bjorn Zethraeus(ビョルン・ゼスラエウス)博士の説明によれば

世界の陸地を60億人の世界の人口で割って、その土地の特性を、おおよそ一人あたりの陸地面積をサッカーコートの広さを使って、わかりやすく説明したものだ。
説明によれば、
①世界の陸地を人口60億人で分割すると約サッカーコート3.5面の広さになる。
②このうち1面分の広さは、砂漠と氷と植物の育たない高い山々だ。
③さらにもう1面は森林地帯となる。
④3枚目のコートは、やはり農業生産には向かない乾燥した気候だ。
⑤ようやく残り反面が、農業生産が可能な土地になるが、その大半が牧畜に利用されている土地だ。
⑥最後に残された、サッカーコートのペナルティーエリア1個分の土地が、栽培に利用され、そこでは、綿、コーヒー、ジャガイモ、お米、とうもろこし、小麦、亜麻(繊維用)などが栽培されている。
ということだ。
2050年を考えると、一人当たりが使える土地は、この65%近くまで減少してしまう。

エネルギーについても同様のことが言え、ただ単に、現在のエネルギー利用を据え置きのまま、新しいエネルギー起源に切り替えるだけでは、世界の増加し、平準化されるエネルギー利用を支えていくことはまったくもって不可能な話なのだ。

それ故に、エネルギー起源の転換の前には、必ず、自分達が、実際にどのような起源のエネルギーをどのように生活や仕事の一つひとつの用途に用いていて、どれだけ役に立っていて、一方で、どれだけ必要のないことをやっているのかまで、丁寧に、繰り返し、しっかりと、見ていく必要があるわけだ。

これまで、あまり気にかけてこなかったことや、できる限り見ないようにしてきたことに直接向き合うことのできる機会を設けることで、これまで忘れていた何かを取り戻す機会も得られるだろう!!

立ち止まって見つめる作業は、立ったまま、現在の位置から、自分達の向かうべき方向を変えることにつながる。

補足だが、牧畜も含むが、一人あたりサッカーコート半面の65%が使えると考えるならば、
4人家族ならサッカーコート1面強、多少、肉や乳製品は食べられなくなるかもしれないが、
大きな家庭菜園で自給自足と思えば、案外楽しい未来の姿が描けてくる!!

全部の面積で、食べることのできないトウモロコシを作って、自動車を数回分だけ満タンにして
後は、1年間、家族全員、何も食べないでいることと

どちらが楽しそうですか?

自給自足の生活を考えてみるならば、2050年の持続可能な低炭素社会の生活は、結構面白いかもしれない。




5つのエネルギー起源(7)核エネルギー2

核エネルギーには、人類が作り出したエネルギーもあるが

放射線の利用など、自然の仕組みを応用した、温和なエネルギー利用法も存在する。

温和とはいっても、放射線のエネルギー強度は、可視光に比べれば遙かに強力なので

放射線を放出する放射性物質の量を制限したり、ごくごく弱い放射線を利用することで

生物と共存することのできるレベルや方法でエネルギーを利用する。

ラジウム岩盤浴は、微量な放射線を治癒効果に利用した自然の知恵であろうし

多方向から、弱い放射線を、体内の一点にクロスし、その部分にのみ、高い強度の放射線が集中するように放射することで、外科手術なしにその部位のがん細胞のみを狙って攻撃するがんの放射線療法は、核エネルギーの研究の応用である。

核エネルギーは、そこから大規模なエネルギーを引き出そうとすれば、その分だけ安全性へのリスクも高く、しかも、核エネルギーの特性上、予想される被害は壊滅的なものに繋がる。

一方で、放射線によるがん治療などは、私達の生活に様ざまな恩恵も与えている。





2009年7月22日水曜日

5つのエネルギー起源(8)まとめ

太陽エネルギーのフロー
太陽エネルギーのストック(化石エネルギー)
地熱
潮力
核エネルギー

この5つが私達が地球上で活用できる5つのエネルギー起源だ!!

地球上で使えるエネルギーは、この5つしかないといい変えてもいいだろう!!

太陽エネルギーのフローは太陽内部の核融合起源の紫外線、可視光、赤外線の光のエネルギー
化石エネルギーは、太陽エネルギーのフローからの数十億年のストックでCO2放出の原因
地熱は地球がまだ冷え固まっていない内部の熱
潮力エネルギーは地球と月、地球と太陽が引き付け合う引力のエネルギー
地球上の核エネルギーは原子炉の核分裂エネルギー起源の熱エネルギー

現在、地球温暖化と気候変動の原因と断定されたCO2の起源は、この内、太陽エネルギーのストック
である化石エネルギーからのCO2放出である。
日常生活や、産業活動の中で利用されている化石エネルギーを、それぞれの用途毎に、CO2の排出のない4つのエネルギー起源に転換していけばとりえず、それ以後のCO2の排出が継続的に削減される。

これは利用するエネルギー起源の転換!!

ちょっと前なら、『ああ、だから、風力発電を立てて
太陽エネルギーのストックから太陽エネルギーのフローに電力の源を入れ替えればいいだな』と単純に思ったところだが

持続可能な低炭素社会について学んだ私達がまずしなくてはならないことは
省エネだ!!

2050年という目標設定の中で、地球の住民全体が持続可能に生きるには、地球の人口動態についても知らなくてはならない。




2009年7月21日火曜日

5つのエネルギー起源(6)核エネルギー

5つのエネルギー起源の最後の一つが核エネルギーである。

核エネルギーには、核分裂エネルギーと核融合エネルギーの2つがある

核反応について、私は詳しくないが

鉄原子を中心として、

ウランのような鉄原子より重い原子は、
分裂により、より軽い原子となることで安定するのが核分裂で

反対に、水素など鉄原子より軽い原子は融合により
より重い原子となることで安定するという核融合とのこと

原子力発電のような核分裂反応では、核分裂後にエネルギーと共に新たな放射性物質
が誕生してしまう。核融合については、重水素燃料として用いた核融合の場合、核融合後に誕生する原子は、放射能を持たない安全なヘリウムであり、放射性廃棄物の発生が少ないという特徴がある。

太陽のエネルギーの源である太陽の中心部で起きている現象は、水素がヘリウムに変わる熱核融合反応である。

核融合反応は、非常に高温で、高圧な環境が反応条件である。
核融合炉の研究はなされているが実用化の見込みはたっていない。

核エネルギーを太陽エネルギーのフローと比較すると
以下のようになる

太陽エネルギーのフロー
●太陽中心部の核融合反応によるエネルギーが起源
●太陽中心部で発生したエネルギーは、ガンマ線に変わり、それが、太陽内部を通過しながら、少しづつ温和な電磁波に変わり、数十万年かかってようやく太陽表面にたどり着き、赤外線、可視光線、紫外線、X線になって宇宙空間へと放出されるたもの。
●地球では、地球をとりまく大気によってX線はそのほとんど、紫外線の90%はオゾン層で、可視光、赤外線の約4割が大気中での反射・散乱・吸収によって減衰されている。
●太陽風と呼ばれる太陽から吹き飛ばされてきた粒子(プラズマ)は、太陽系外からの銀河宇宙線をブロックしている。
●一方で、地球には磁場がるため、太陽風は直接地球に吹き付けることができず、地球の周りを迂回していく。これにより、地球が、宇宙線や太陽からの粒子から守られている。

原子力エネルギー(私が知っている範囲)
●密閉された原子炉内の核分裂反応
●エネルギーは、熱エネルギーとして、水を直接もしくは間接的に温めることで利用される。
●放射能は、燃料をペレットとして固形化することで飛散を防止。また、原子炉炉体の隔壁により放射線の外部への放射を防止
●臨界後の制御は、中性子を吸収するホウ素の制御棒の出し入れで制御
●核分裂後の高レベル放射性廃棄物と、原子炉補修解体時の炉体など、低レベルの放射性廃棄物が蓄積し続ける。
●高レベル放射性廃棄物に含まれるプルトニウムは、原子爆弾の材料にも転用可能

太陽エネルギーのフロー、原子力エネルギー共に、核反応を起源とする。
太陽エネルギーのフローの場合は、核融合反応が太陽の中心部で起こり、生物に有害なガンマ線などの放射線は、より温和な、赤外線や可視光、紫外線となって地球に到達する。
さらに、生物有害な紫外線や、太陽風として、太陽から地球に到達する粒子のほとんどが、オゾン層や地球の磁場、大気などによって吸収もしくは遮られ、地上に届く太陽光は、放射線や強力で生物に有害な成分の多くを取り除かれた光となっている。だから、地球に生命が誕生し、進化することができた。

一方、原子力エネルギーの場合、放射性の生成物が発生してしまう、核分裂反応を放射線が原子炉外部への漏洩と放射性物質の飛散を防止しながら強烈な核反応エネルギーを、強力で危険な光の状態ではなく、熱エネルギーの形で取り出し、熱エネルギーを電力に変換して利用する仕組みとなっている。少量の燃料で、大量の熱エネルギーを安定的に取り出すことができる点で優れているが、課題として、核分裂反応を地球上で行っているため、常に放射性物質の飛散と放射線の漏洩、燃料としての放射性物質、廃棄物としての放射性物質の管理の問題が付きまとってくる。この理由は、現在の科学技術では、一度、環境へと拡散した放射性物質を、きれいに拾い集めることが不可能であること、放射性物質そのものを何らかの方法を用いて放射線が出ないように完全に無害化する技術は存在していないということ。また、放射線が生物に有害な理由は、放射線が、生物の体を通過するときにDNAを傷つけること。特に、放射性物質が、体内に取り込まれた場合、たとえ1原子でも、常時体内から、放射線を放射し続けるため、体内被曝が継続されてしまうことなどが挙げられる。通常、DNAは、多少の傷なら修復されるように生物の体は自己修復を常に行っているが、DNAの破壊が、修復のスピードを超えると、壊死したり、細胞が突然変異によってガン化することになる。

核エネルギーの中でも原子力エネルギーは核反応が、閉鎖された地球上で行われるという点で、太陽エネルギーのフローと全く異なっている。原子炉と放射性物質の管理を、私達人間が必ず行わなければならないことも特徴の一つである。さらに、生物は一定量以上の放射線には非常に弱いということも付け加えなければならない事実である。そして、放射性物質は、一度、環境に放出されると、自然に減衰を待つ以外、掃除する方法が存在しない。その期間は放射性物質によって異なるが、1秒以下から、数百億年以上のものまで存在する。


これら点を、総合的に考慮すると、原子力発電のような地球上の核エネルギーの利用は、
人間社会によるコントロールと常に一体で考えることが重要なことが良くわかる。

創出されるエネルギーの量は膨大であるが、一方で、一回のミスで発生する損害は人類が二度と取り返すことのできない程の甚大な規模かつ時間となる。グラフに示されるロングテールの積算量ように、事故発生による損害は、修復可能な失敗と比べて遙かに甚大なものとなる。

安全と平和利用の2点の確立と
ヒューマンエラーの管理
蓄積される廃棄物の課題
資源の有限性の問題

問題の種が同居している限り、議論は繰り返し繰り返し行われ続けなければならない。

シュバイツアーの自伝の中に

人道主義は人間をひとつの目的のために決して犠牲にしないことより成り立つ。

という言葉があるそうである。

温暖化の問題は、容易に大儀になりうる課題である。

人類全体のために一人を犠牲にすることも時に、必要である。との議論があったときには

堂々と、言ってやろう!!

一人を犠牲にするような温暖化対策をやっているなら、いつか人類全体も、その温暖化対策に愛想を尽かす時が必ず来るだろう。それは人の道ではないから。

話し合うこと、理解しあうこと、お互いに納得しあうこと、これらのプロセスを通過することなしには、いかなる技術も私達、人と一緒に歩むことは不可能である。














2009年7月18日土曜日

5つのエネルギー起源(5)潮力

5つのエネルギー起源の4番目は潮力

潮力の源は地球と月が引き合う引力
潮汐力と言うらしい
この2つの引力に、さらに太陽の引力が加わり
1日に約2回周期の潮の満ち引きと、
月と太陽と地球が直線に並ぶ満月や新月など起こる最も干満の大きな大潮や
月と地球と太陽が直角に並びそれぞれの潮汐力を打ち消しあう小潮という現象が生まれる

潮力も莫大な量の海水、汽水移動を引き起こすため
莫大な量のエネルギーがそこで作用しているわけであるが

実際には、これらの力が、太陽エネルギーのフローと同様に
海水や湖沼の汽水の移動を引き起こしたり
大気に対しても移動を引き起こしたりすることで
大きな自然の循環を生み出している

普段忙しく、日々を過ごしている私達は、あまり良く気がつかないが
地球上の生物は、潮汐力のリズムを体内に取り込んで、産卵のリズムとして利用している。

地球上で誕生した生物には、地球のリズムが、遺伝子レベルで内部化してあるようだ。

潮力は、非常に安定したリズムであるため、風力や太陽光などの入力の不安定なエネルギーに比べて実に安定的なエネルギーである。

潮力を電力エネルギーとして取り出すためには、タービンをまわす、水流や、満潮時に水をためておく大きな水がめが必要だ。

日本で、これまで、あまり潮力発電の開発が進まなかった理由は、これらの水流などを回収するために適した地形があまり見当たらなかったためだという。

近年では、魚のひれに模した、仕組みを使って、タービン以外の方法で水流を効率的に動力に変える技術の開発も進んでいる。バイオミメティクス(生物模倣)という考え方があるが、自然に淘汰されて様ざまな生物の形や機能の仕組みを学ぶことで、効果的に地球の自然を利用できる技術の可能性は先が深い。地熱で説明したように、地球上の自然の中で、与えられたエネルギーと環境を、それぞれの環境の中で最大限に効率的に利用してきた子孫達が、今日地球上に生きているすべての生物である。

潮汐力(潮力)の世界も同様に、単に電気エネルギーとして、利用する以外にも、まだまだ画期的な潮力の利用法も見つかってくるだろう。潮力は、現代文明がまだまだ十分にその利用を見つけることに到達していない分野なのかもしれない。





5つのエネルギー起源(4)地熱

5つのエネルギー起源の3番目は地熱だ。

身近に感じることができるのは温泉だが
地球という惑星は、表面のほんの一部だけが
生物が生息できる比較的温和な環境だが

ほんの数kmから数十キロメートル下には高温のマントルがあり、さらに中心部に向かっていくとさらに高温の核に到達すると考えられている。

マントルの温度は、最下部では3000度、地殻と接触する部分でも1500度と高温で
このマントルの熱が地表に届く地殻の割れ目や火山の下のマグマの熱が地熱エネルギーだ。

日本では大分県が、最も多く温泉からの地熱エネルギーを発電に活用している。

日本は、温泉が多く地熱エネルギーに比較的恵まれた地域であるが
多くが国立公園として指定されていることや、地震が多いなどの問題がありこれまで開発が進んでこなかった。

発電としての地熱の利用は、これまで進んでこなかった一方で、観光や医療に対しての温泉といったマイルドなエネルギーや鉱物的な温泉の利用は日本人にとって非常にポピュラーだ。

先日、ナノアンテナで赤外線から発電という記事を読んだが、近い将来、赤外線や遠赤外線からの小型の発電機器や、それらを組み込んだ超省電力消費の電子機器類で温泉や岩盤から発せられる遠赤外線を利用して、テレビが見るなんて技術も登場するのはななかろうか?

動力のような強力なエネルギー利用や、園芸農業による温泉野菜の生産、一方で、繊細でマイルドな方向性での革新的なエネルギー利用など、まだまだ新たな発想がたくさん飛び出しそうな気がする。

特に、省エネルギー技術が進めば、これまで気にもかけてこなかった、微量なエネルギー源が有効なエネルギー源となってくる可能性を生み出す。

自然共生という観点から、火山地帯の地面に大穴を開けて、熱エネルギーを取り出す以外にもきっともだまだ方法があるはずだ!!簡単には冷やすことなど到底できない、生きている地球のエネルギーだ。地球の意見も聞きながら、ほんの少しだけ分けてもらう。そのためには、もっともっと地球を知って、地球から学び、地球と語りあう必要があるはずだ。





2009年7月17日金曜日

5つのエネルギー起源(3)太陽エネルギーのストック

5つのエネルギー起源の2番目は

”ストック”された太陽エネルギー=化石エネルギーだ!!

化石燃料 特に 石油に関しては
その生成過程について諸説があるが

基本的に、石炭、石油共に、その生成起源の最も多くは、バイオマス起源
植物や動植物プランクトンの蓄積と変性濃縮によって化石燃料は誕生した。

バイオマスは、太陽エネルギーのフローが起源

太陽エネルギーのフローと一緒に古代の濃厚な二酸化炭素が徐々に地上に蓄えられ、高圧によって変性・濃縮し、エネルギー密度が高まったものが化石燃料だ!!現在のCO2濃度は直物が光合成によって太古の地球の大気中の二酸化炭素を固定し、それを化石燃料として封じ込めたための値なのだ。

化石燃料はエネルギー密度が、本来のバイオマスと比べて非常に高い。よく言われることだが、バイオマスは、広く散らばっていて、しかも、水分を多く含み重い。また、形状や組成も多様で、利用方法が複雑である。

バイオマスに比べると化石燃料は、性質も安定しており、集積しており、燃料効率も高い、また輸送性と保管性により優れている。産業革命により、化石燃料の利用法が開発されることで、たった200年程でその利用が爆発的に広がった。

化石燃料の特長は、エネルギー密度の問題だけではなく、その主成分である多様な炭化水素を様ざまな素材原料として活用できるようになってきたことが挙げられる。

産業革命後、化学工業が発達するようになって、原油から蒸留精製されて分離されるいくつかの炭化水素を原料として多様な化学物質が大量に工業製品の素材として提供されるようになった。

現在問題となっている大気中のCO2濃度の急激な増加も、排気ガスによる大気汚染といった公害も、約35億年前に光合成生物が誕生して徐々に地球に堆積してきたバイオマス起源の太陽エネルギーのストックの半分近くの量を、たった200年程で急激に消費してしまったことによるものだ。

さまざまな公害も引き起こしたが、化石燃料は本来、便利で非常に優れたエネルギー源である。もちろん元々は太陽と地球の子供である。化石燃料による大量のエネルギーの利用は、急激に文明を発達させてきた。私達は、化石燃料に関して、使った分だけゴミも出るという単純なことさえ理解しないまま、実に総量の約半分までこの資源を食い尽くしてしまった。

私達ができることは、化石燃料の否定ではない。
化石燃料を使って、人類が、学んだ多くのことを最大限に活用して、化石燃料にあまり頼らないで済む新しい生き方をつくることが今必要である。
また貴重な太陽エネルギーのストックである化石エネルギーを、より安全で有効な利用が可能な後世の世代まで持続させるのも私達の仕事であろう。

我が家では、部屋の暖房に灯油を使わずに、できるだけ太陽エネルギーを部屋に取り入れるようにした。ある時、職場で石油ストーブあたった時、石油ストーブの火が、甘いと感じられた。
この甘さに、つかりっぱなしになった状態が化石燃料病なのかもしれないと今思う。

化石燃料病を絶つには、一度、化石燃料病にかかっていない状態を確認しておく必要がある。


できるだけ今の豊かさを維持しながらの低炭素社会なんてことばを聴くとぞっとする。

今の豊かさは化石燃料病にかかっている豊かさだからである。
低炭素社会をつくるということは、化石燃料病に自分達がかっていることに気がつき、
化石燃料病から自分達を救うあらゆる試みだからだ。

従って、低炭素社会にたどり着くためには、必ず守らなくてはならない順番がある。
①は省エネや省資源
資源とエネルギーを節約した生き方を実現した上で
②代替エネルギーを検討
することが重要だ。
②で代替エネルギーを検討して、自分達は、化石燃料病を維持しようとすると代替エネルギーの生産のためにさらにエネルギーと資源を消費し続けるパラドックスに陥ってしまうからだ。

世の中に甘い道はない
化石燃料病から抜け出す時にはちょっと辛いのだが
その先には、心豊かで愉しい道が用意されている。

まずは、生き方から変えてみよう!!


2009年7月14日火曜日

5つのエネルギー起源(2)太陽エネルギーのフロー(バイオマス)

太陽エネルギーのフローの地球上での滞在形態の重要なもう一つが”バイオマス”だ!!

バイオマスは、生物資源という言葉が日本語訳としてあてはめられているが
バイオマスは、資源という意味だけではなく、植物体や動物の体や排泄物など、(地球上に住む)生物体のすべてを対象として指すことのできる言葉だ。
だから、僕の体もバイオマスであり、菜の花の花や茎や実もバイオマス、牛や豚のおしっこや糞もバイオマスだし、ミジンコや池の中の微生物、はたまた、太平洋の鯨や、カジキマグロ、磯のアオサやイソギンチャクなんかも皆なバイオマスだ!!

毎年植物が光合成で固定できる太陽エネルギーの量は
太陽エネルギーのフローの0.1%
ただ0.1%といっても世界全体の1年間の消費エネルギーの10倍のエネルギーだ!!

植物の光合成は同時に大気中のCO2太陽エネルギーと共に固定する

植物は、それを食べる動物などバイオマスは、枯れたり、死んで腐敗して分解する時にCO2を再び大気中に吐き出す。

植物の光合成で蓄えられたエネルギーは、ほんの一部は、薪のように直接燃焼され、再び空気を暖めたり光のエネルギーになって宇宙に飛び出し、
多くの太陽エネルギーは、エネルギーは、植物や動物を食べる他の生物や非常に多くの微生物によって生きる糧として消費され、生体内の化学反応に用いられ運動エネルギーや熱エネルギーに転換された後、やはり熱エネルギーとなって、大気へと放出される。

だから、キャンプで薪を燃やした時の熱や炎の明かりも、源をただせば、太陽エネルギーのフローであるし、私達が、ご飯を食べて毎日の仕事や子育て、読書や、かけっこに使っているエネルギーもすべて太陽エネルギーのフローなんだ。

バイオマスエネルギーは、太陽エネルギーの内、光合成に利用できる、一部の光エネルギーが、糖という形で化学エネルギーとして固定されたものだけれど、ほとんどの生き物を直接、動かし、活動させているエネルギーは、ほぼ完璧に太陽エネルギーのフローが起源なので、実は、私達、生物は、仮に石油がなくても、毎年ちゃんと降り注ぐ太陽エネルギーがあるならば、生命活動を続けることができるのである。

石油だらけで食べ物を生産や輸送はしてはいるけれど、結局、私達を生き物として生かしているエネルギーの源は、バイオマスであり太陽エネルギーのフローだったんだ!!

このことは、これから石油を中心とする化石燃料への依存を減らす”低炭素社会”を作ろうという私達にと非常に勇気を与えてくれる。

これまで、『学校では、石油がなければ生きては行けない』って教わってきたのが、実は、『ちゃんと毎日、地球上、ばらつきはあるけれど、一人ひとりに公平に降り注ぐ太陽と、それで育ったバイオマスがあれば結局は生きて行けるんだ』に考え方の変化が起こったんだから・・・

あとは、それをどう実現すればいいのかを考え、少しずつ実践し身につけていくだけ

大勢の人を変えることは簡単ではないけれど、身近なところから、自分の生活を変えていくことは簡単なことだから!!



バイオマスに非常に大きなスペースを割きバイオマスのエネルギー的な側面について示してきたが、バイオマスには、エネルギー以外にも、CO2の貯蔵庫としての役割、酸素の供給源としての役割、多様な生物が生きる多様な環境を生み出し、生命が生きる場所を生み出す役割、分解者としての機能等様ざまな重要な特長がある。

持続可能な低炭素社会という側面から見ると、物資循環、自然共生、安全安心という重要な要素と不可分に結びついているため、バイオマスについては別の項目を設けてさらに議論を深める必要があるだろう。





2009年7月13日月曜日

5つのエネルギー起源(1)太陽エネルギーのフロー

5つのエネルギー起源

低炭素社会を考える上で、大切な基礎知識がある。

その1つが5つのエネルギー起源

私達が地球上で暮らす以上、
私達には与えられた利用可能ないくつかのエネルギー起源がある。

これは、地球に住む以上、私達がどうしようもない”地球の掟”

エネルギー起源には5つある。

風力、太陽光、バイオマス、水力・・・・
これで4つ!!

と答えるかもしれないが、実はこれは、違う。
風力、太陽光、バイオマス、水力
は皆まとめて、太陽エネルギーのフロー。

毎年、毎年、太陽からのエネルギーの放射が、地球を駆け抜けて行くときに引き起こす、
様ざまな”仕事”

光のエネルギーが、大気や地上に到達し熱エネルギーに変わり、空気を暖めて体積を増やしたり、対流を引き起こしたりすることで生まれるのが”風”
風力エネルギーの正体は太陽エネルギーのフローだ!!


それでは 水力はどうだろう?
地表や海面に届いた太陽光は、熱エネルギーに変わり、風が生まれることと同じように
海水や、土壌の水分を温める。
暖められた水分は、一定の熱量を与えられると蒸発し
空気の流れに乗って、大気の中の様ざまな場所に移動する。

また鬱蒼とした森の上にも降り注ぐ光の熱は、樹木の葉をも暖め
植物は気孔から水分を蒸発させ、葉が枯れてしまわないように葉面の温度を低下させる
植物から蒸発した水分も同じように大気の中を様ざまに移動して再び雨となって地表に降り注ぐ。

この時、地表の山々など、より高い場所に降り落ちた雨が水力エネルギーの源だ!!

水力は、光と水と風の力と、たまたま降り落ちた場所の位置が高く回収し易かったという偶然で、
私達の手に入ることになった自然エネルギーであり、その源を辿ってみると
もちろんそれは、風と水分の蒸発や植物の蒸散を引き起こす太陽エネルギーのフローである。
太陽エネルギーのフローは、直接的な熱エネルギーとしても、水蒸気の潜熱としても
はたまた、大気の膨張や対流といった機械的なエネルギーにも転換する