2009年7月30日木曜日

グリーンニューディールについて考える(1)

5つのエネルギー起源のまとめ(3)に入る前に

グリーンニューディールについて考えよう!!

グリーンニューディールは
3つの異なる時間フレームからなる持続可能な(低炭素)社会づくりの取り組みを
全体の展開がスムーズに行われるよう最適化した経済政策手法のこと

1つ目のタイムスパンは、2050年以降まで続く、化石燃料社会から、持続可能な社会への長期のパラダイムシフト、持続可能な低炭素社会づくりはこのパラダイムシフトの基盤となってくる取り組み

2つ目のタイムスパンは、実質的な低炭素経済が誕生するまでの中期の転換。低炭素経済は、単に、モノを製造したり、サービスを供給するだけでなく、それらのサービスを対価を支払っても交換したいと考える低炭素サービスの消費者の3者が、同時にそろって初めて、自然な価値の交換が行われる。
このような、生産と消費の量が社会や生活を成り立たせ得るだけの一定以上の規模に達し、同時に、現在の拡大と成長に依存しなければ成り立たない経済がスローダウンし、十分に低炭素経済が成長してきたことが認識されるまでの15年~30年間といった中期的な取り組みの内、低炭素経済の芽を育て始める作業

3つ目のタイムスパンは、1つ目のパラダイムシフトの取り組みと、2つ目の持続可能な低炭素経済の芽を育てる作業を、現在の化石燃料社会の仕組みを、そのまま使って応援する取り組み。エコポイントによる家電の買い替えや太陽電池、省エネ自動車、省エネ住宅など、低炭素社会での生活、産業を支えて行くためのインフラともいえる施設や設備を整備するわけである。この仕事は、現在の、経済の仕組みを生かしたまま、生産したり、取り扱ったりする商品や製品を、将来の生活を低炭素で節約型だが、豊かなものにする製品に変えることだけ転換が可能だ!!

20年から30年後には現在の経済は間違いなくスローダウンし、一方でゆっくりだが、堅実な成長を続ける持続可能な低炭素経済が徐々に成長していく。現在活動している多くの企業は、この3番目のタイムスパンの取り組みを企業活動として取り込みながら、CSRなど企業内部の意識改革を実践することで、平行しながら2つ目の低炭素経済への乗換えを果たそうと取り組み始めている。

グリーンニューディールの2つ目の特徴は
グリーンニューディールという経済政策手法が、世界中で同時に採用されつつあるということ。同じ、グリーンニューディールでも、太陽電池産業を成長させたいと考える日本と、広大な国土と多様な自然環境を活かして、風力を中心とする再生可能エネルギーを有効に活用するための、スマートな電力グリッド網の整備と、それら連結するプラグインハイブリッド自動車により国内経済を再生させようとしているアメリカ合衆国、一方、CO2の削減よりも、気候変動による災害の対策と豊かさの実現を最優先していきたいと考える多くの開発途上国のグリーンニューディール。

地域の風土、多様な社会経済状況を抱える地球上の様ざまな国家やコミュニティーが、地球環境問題の存在を知り、どのようにその課題に対処、計画的に取り組んでいくかを内部化し、解決策を実践しはじめた、いくつかの具体的な行動が、日本版グリーンニューディールであり、オバマのグリーンニューディールであると考える。

徐々に、グリーンニューディールの取り組みへの理解が社会に広がり、より合理的な手法の選択が政策の中でも実施されていくことを期待したい。

世界、全体に広がっているグリーンニューディールはグローバルグリーンニューディールとして国連で提唱されている。


つづく
 



2009年7月23日木曜日

5つのエネルギー起源(9)まとめ2


世界の人口動態は現在の68億人から90数億人に膨れ上がる。
現在からみれば、2050年の段階で1.3倍以上の増加だ。

もちろん、2050年までには、世界の生活水準も
現在よりも、より平準化されてくるだろうし、

私達の将来の生活を設計するには、
地球上のエネルギー・資源を、
世界の全住民と平均で割った数字を知っておくことを
基本的な大前提としておかなければならない

その数字を、前提とした上で、地域や文化の特殊性や多様性とのバランスで
その数字が上下するのだと思う。

そのばらつきの幅は、温かい国や地域なら、暖房に使われるエネルギーが少なくなるだろうし
寒い、極寒の地域なら、その寒さの中で人間が、活発に活動をしてくために十分なエネルギーが必要であろう。

添付した図は、2008年5月に行われた第2回つくば3Eフォーラムの報告書から引用したものだが
スウェーデン ベクショー大学教授 Bjorn Zethraeus(ビョルン・ゼスラエウス)博士の説明によれば

世界の陸地を60億人の世界の人口で割って、その土地の特性を、おおよそ一人あたりの陸地面積をサッカーコートの広さを使って、わかりやすく説明したものだ。
説明によれば、
①世界の陸地を人口60億人で分割すると約サッカーコート3.5面の広さになる。
②このうち1面分の広さは、砂漠と氷と植物の育たない高い山々だ。
③さらにもう1面は森林地帯となる。
④3枚目のコートは、やはり農業生産には向かない乾燥した気候だ。
⑤ようやく残り反面が、農業生産が可能な土地になるが、その大半が牧畜に利用されている土地だ。
⑥最後に残された、サッカーコートのペナルティーエリア1個分の土地が、栽培に利用され、そこでは、綿、コーヒー、ジャガイモ、お米、とうもろこし、小麦、亜麻(繊維用)などが栽培されている。
ということだ。
2050年を考えると、一人当たりが使える土地は、この65%近くまで減少してしまう。

エネルギーについても同様のことが言え、ただ単に、現在のエネルギー利用を据え置きのまま、新しいエネルギー起源に切り替えるだけでは、世界の増加し、平準化されるエネルギー利用を支えていくことはまったくもって不可能な話なのだ。

それ故に、エネルギー起源の転換の前には、必ず、自分達が、実際にどのような起源のエネルギーをどのように生活や仕事の一つひとつの用途に用いていて、どれだけ役に立っていて、一方で、どれだけ必要のないことをやっているのかまで、丁寧に、繰り返し、しっかりと、見ていく必要があるわけだ。

これまで、あまり気にかけてこなかったことや、できる限り見ないようにしてきたことに直接向き合うことのできる機会を設けることで、これまで忘れていた何かを取り戻す機会も得られるだろう!!

立ち止まって見つめる作業は、立ったまま、現在の位置から、自分達の向かうべき方向を変えることにつながる。

補足だが、牧畜も含むが、一人あたりサッカーコート半面の65%が使えると考えるならば、
4人家族ならサッカーコート1面強、多少、肉や乳製品は食べられなくなるかもしれないが、
大きな家庭菜園で自給自足と思えば、案外楽しい未来の姿が描けてくる!!

全部の面積で、食べることのできないトウモロコシを作って、自動車を数回分だけ満タンにして
後は、1年間、家族全員、何も食べないでいることと

どちらが楽しそうですか?

自給自足の生活を考えてみるならば、2050年の持続可能な低炭素社会の生活は、結構面白いかもしれない。




5つのエネルギー起源(7)核エネルギー2

核エネルギーには、人類が作り出したエネルギーもあるが

放射線の利用など、自然の仕組みを応用した、温和なエネルギー利用法も存在する。

温和とはいっても、放射線のエネルギー強度は、可視光に比べれば遙かに強力なので

放射線を放出する放射性物質の量を制限したり、ごくごく弱い放射線を利用することで

生物と共存することのできるレベルや方法でエネルギーを利用する。

ラジウム岩盤浴は、微量な放射線を治癒効果に利用した自然の知恵であろうし

多方向から、弱い放射線を、体内の一点にクロスし、その部分にのみ、高い強度の放射線が集中するように放射することで、外科手術なしにその部位のがん細胞のみを狙って攻撃するがんの放射線療法は、核エネルギーの研究の応用である。

核エネルギーは、そこから大規模なエネルギーを引き出そうとすれば、その分だけ安全性へのリスクも高く、しかも、核エネルギーの特性上、予想される被害は壊滅的なものに繋がる。

一方で、放射線によるがん治療などは、私達の生活に様ざまな恩恵も与えている。





2009年7月22日水曜日

5つのエネルギー起源(8)まとめ

太陽エネルギーのフロー
太陽エネルギーのストック(化石エネルギー)
地熱
潮力
核エネルギー

この5つが私達が地球上で活用できる5つのエネルギー起源だ!!

地球上で使えるエネルギーは、この5つしかないといい変えてもいいだろう!!

太陽エネルギーのフローは太陽内部の核融合起源の紫外線、可視光、赤外線の光のエネルギー
化石エネルギーは、太陽エネルギーのフローからの数十億年のストックでCO2放出の原因
地熱は地球がまだ冷え固まっていない内部の熱
潮力エネルギーは地球と月、地球と太陽が引き付け合う引力のエネルギー
地球上の核エネルギーは原子炉の核分裂エネルギー起源の熱エネルギー

現在、地球温暖化と気候変動の原因と断定されたCO2の起源は、この内、太陽エネルギーのストック
である化石エネルギーからのCO2放出である。
日常生活や、産業活動の中で利用されている化石エネルギーを、それぞれの用途毎に、CO2の排出のない4つのエネルギー起源に転換していけばとりえず、それ以後のCO2の排出が継続的に削減される。

これは利用するエネルギー起源の転換!!

ちょっと前なら、『ああ、だから、風力発電を立てて
太陽エネルギーのストックから太陽エネルギーのフローに電力の源を入れ替えればいいだな』と単純に思ったところだが

持続可能な低炭素社会について学んだ私達がまずしなくてはならないことは
省エネだ!!

2050年という目標設定の中で、地球の住民全体が持続可能に生きるには、地球の人口動態についても知らなくてはならない。




2009年7月21日火曜日

5つのエネルギー起源(6)核エネルギー

5つのエネルギー起源の最後の一つが核エネルギーである。

核エネルギーには、核分裂エネルギーと核融合エネルギーの2つがある

核反応について、私は詳しくないが

鉄原子を中心として、

ウランのような鉄原子より重い原子は、
分裂により、より軽い原子となることで安定するのが核分裂で

反対に、水素など鉄原子より軽い原子は融合により
より重い原子となることで安定するという核融合とのこと

原子力発電のような核分裂反応では、核分裂後にエネルギーと共に新たな放射性物質
が誕生してしまう。核融合については、重水素燃料として用いた核融合の場合、核融合後に誕生する原子は、放射能を持たない安全なヘリウムであり、放射性廃棄物の発生が少ないという特徴がある。

太陽のエネルギーの源である太陽の中心部で起きている現象は、水素がヘリウムに変わる熱核融合反応である。

核融合反応は、非常に高温で、高圧な環境が反応条件である。
核融合炉の研究はなされているが実用化の見込みはたっていない。

核エネルギーを太陽エネルギーのフローと比較すると
以下のようになる

太陽エネルギーのフロー
●太陽中心部の核融合反応によるエネルギーが起源
●太陽中心部で発生したエネルギーは、ガンマ線に変わり、それが、太陽内部を通過しながら、少しづつ温和な電磁波に変わり、数十万年かかってようやく太陽表面にたどり着き、赤外線、可視光線、紫外線、X線になって宇宙空間へと放出されるたもの。
●地球では、地球をとりまく大気によってX線はそのほとんど、紫外線の90%はオゾン層で、可視光、赤外線の約4割が大気中での反射・散乱・吸収によって減衰されている。
●太陽風と呼ばれる太陽から吹き飛ばされてきた粒子(プラズマ)は、太陽系外からの銀河宇宙線をブロックしている。
●一方で、地球には磁場がるため、太陽風は直接地球に吹き付けることができず、地球の周りを迂回していく。これにより、地球が、宇宙線や太陽からの粒子から守られている。

原子力エネルギー(私が知っている範囲)
●密閉された原子炉内の核分裂反応
●エネルギーは、熱エネルギーとして、水を直接もしくは間接的に温めることで利用される。
●放射能は、燃料をペレットとして固形化することで飛散を防止。また、原子炉炉体の隔壁により放射線の外部への放射を防止
●臨界後の制御は、中性子を吸収するホウ素の制御棒の出し入れで制御
●核分裂後の高レベル放射性廃棄物と、原子炉補修解体時の炉体など、低レベルの放射性廃棄物が蓄積し続ける。
●高レベル放射性廃棄物に含まれるプルトニウムは、原子爆弾の材料にも転用可能

太陽エネルギーのフロー、原子力エネルギー共に、核反応を起源とする。
太陽エネルギーのフローの場合は、核融合反応が太陽の中心部で起こり、生物に有害なガンマ線などの放射線は、より温和な、赤外線や可視光、紫外線となって地球に到達する。
さらに、生物有害な紫外線や、太陽風として、太陽から地球に到達する粒子のほとんどが、オゾン層や地球の磁場、大気などによって吸収もしくは遮られ、地上に届く太陽光は、放射線や強力で生物に有害な成分の多くを取り除かれた光となっている。だから、地球に生命が誕生し、進化することができた。

一方、原子力エネルギーの場合、放射性の生成物が発生してしまう、核分裂反応を放射線が原子炉外部への漏洩と放射性物質の飛散を防止しながら強烈な核反応エネルギーを、強力で危険な光の状態ではなく、熱エネルギーの形で取り出し、熱エネルギーを電力に変換して利用する仕組みとなっている。少量の燃料で、大量の熱エネルギーを安定的に取り出すことができる点で優れているが、課題として、核分裂反応を地球上で行っているため、常に放射性物質の飛散と放射線の漏洩、燃料としての放射性物質、廃棄物としての放射性物質の管理の問題が付きまとってくる。この理由は、現在の科学技術では、一度、環境へと拡散した放射性物質を、きれいに拾い集めることが不可能であること、放射性物質そのものを何らかの方法を用いて放射線が出ないように完全に無害化する技術は存在していないということ。また、放射線が生物に有害な理由は、放射線が、生物の体を通過するときにDNAを傷つけること。特に、放射性物質が、体内に取り込まれた場合、たとえ1原子でも、常時体内から、放射線を放射し続けるため、体内被曝が継続されてしまうことなどが挙げられる。通常、DNAは、多少の傷なら修復されるように生物の体は自己修復を常に行っているが、DNAの破壊が、修復のスピードを超えると、壊死したり、細胞が突然変異によってガン化することになる。

核エネルギーの中でも原子力エネルギーは核反応が、閉鎖された地球上で行われるという点で、太陽エネルギーのフローと全く異なっている。原子炉と放射性物質の管理を、私達人間が必ず行わなければならないことも特徴の一つである。さらに、生物は一定量以上の放射線には非常に弱いということも付け加えなければならない事実である。そして、放射性物質は、一度、環境に放出されると、自然に減衰を待つ以外、掃除する方法が存在しない。その期間は放射性物質によって異なるが、1秒以下から、数百億年以上のものまで存在する。


これら点を、総合的に考慮すると、原子力発電のような地球上の核エネルギーの利用は、
人間社会によるコントロールと常に一体で考えることが重要なことが良くわかる。

創出されるエネルギーの量は膨大であるが、一方で、一回のミスで発生する損害は人類が二度と取り返すことのできない程の甚大な規模かつ時間となる。グラフに示されるロングテールの積算量ように、事故発生による損害は、修復可能な失敗と比べて遙かに甚大なものとなる。

安全と平和利用の2点の確立と
ヒューマンエラーの管理
蓄積される廃棄物の課題
資源の有限性の問題

問題の種が同居している限り、議論は繰り返し繰り返し行われ続けなければならない。

シュバイツアーの自伝の中に

人道主義は人間をひとつの目的のために決して犠牲にしないことより成り立つ。

という言葉があるそうである。

温暖化の問題は、容易に大儀になりうる課題である。

人類全体のために一人を犠牲にすることも時に、必要である。との議論があったときには

堂々と、言ってやろう!!

一人を犠牲にするような温暖化対策をやっているなら、いつか人類全体も、その温暖化対策に愛想を尽かす時が必ず来るだろう。それは人の道ではないから。

話し合うこと、理解しあうこと、お互いに納得しあうこと、これらのプロセスを通過することなしには、いかなる技術も私達、人と一緒に歩むことは不可能である。














2009年7月18日土曜日

5つのエネルギー起源(5)潮力

5つのエネルギー起源の4番目は潮力

潮力の源は地球と月が引き合う引力
潮汐力と言うらしい
この2つの引力に、さらに太陽の引力が加わり
1日に約2回周期の潮の満ち引きと、
月と太陽と地球が直線に並ぶ満月や新月など起こる最も干満の大きな大潮や
月と地球と太陽が直角に並びそれぞれの潮汐力を打ち消しあう小潮という現象が生まれる

潮力も莫大な量の海水、汽水移動を引き起こすため
莫大な量のエネルギーがそこで作用しているわけであるが

実際には、これらの力が、太陽エネルギーのフローと同様に
海水や湖沼の汽水の移動を引き起こしたり
大気に対しても移動を引き起こしたりすることで
大きな自然の循環を生み出している

普段忙しく、日々を過ごしている私達は、あまり良く気がつかないが
地球上の生物は、潮汐力のリズムを体内に取り込んで、産卵のリズムとして利用している。

地球上で誕生した生物には、地球のリズムが、遺伝子レベルで内部化してあるようだ。

潮力は、非常に安定したリズムであるため、風力や太陽光などの入力の不安定なエネルギーに比べて実に安定的なエネルギーである。

潮力を電力エネルギーとして取り出すためには、タービンをまわす、水流や、満潮時に水をためておく大きな水がめが必要だ。

日本で、これまで、あまり潮力発電の開発が進まなかった理由は、これらの水流などを回収するために適した地形があまり見当たらなかったためだという。

近年では、魚のひれに模した、仕組みを使って、タービン以外の方法で水流を効率的に動力に変える技術の開発も進んでいる。バイオミメティクス(生物模倣)という考え方があるが、自然に淘汰されて様ざまな生物の形や機能の仕組みを学ぶことで、効果的に地球の自然を利用できる技術の可能性は先が深い。地熱で説明したように、地球上の自然の中で、与えられたエネルギーと環境を、それぞれの環境の中で最大限に効率的に利用してきた子孫達が、今日地球上に生きているすべての生物である。

潮汐力(潮力)の世界も同様に、単に電気エネルギーとして、利用する以外にも、まだまだ画期的な潮力の利用法も見つかってくるだろう。潮力は、現代文明がまだまだ十分にその利用を見つけることに到達していない分野なのかもしれない。





5つのエネルギー起源(4)地熱

5つのエネルギー起源の3番目は地熱だ。

身近に感じることができるのは温泉だが
地球という惑星は、表面のほんの一部だけが
生物が生息できる比較的温和な環境だが

ほんの数kmから数十キロメートル下には高温のマントルがあり、さらに中心部に向かっていくとさらに高温の核に到達すると考えられている。

マントルの温度は、最下部では3000度、地殻と接触する部分でも1500度と高温で
このマントルの熱が地表に届く地殻の割れ目や火山の下のマグマの熱が地熱エネルギーだ。

日本では大分県が、最も多く温泉からの地熱エネルギーを発電に活用している。

日本は、温泉が多く地熱エネルギーに比較的恵まれた地域であるが
多くが国立公園として指定されていることや、地震が多いなどの問題がありこれまで開発が進んでこなかった。

発電としての地熱の利用は、これまで進んでこなかった一方で、観光や医療に対しての温泉といったマイルドなエネルギーや鉱物的な温泉の利用は日本人にとって非常にポピュラーだ。

先日、ナノアンテナで赤外線から発電という記事を読んだが、近い将来、赤外線や遠赤外線からの小型の発電機器や、それらを組み込んだ超省電力消費の電子機器類で温泉や岩盤から発せられる遠赤外線を利用して、テレビが見るなんて技術も登場するのはななかろうか?

動力のような強力なエネルギー利用や、園芸農業による温泉野菜の生産、一方で、繊細でマイルドな方向性での革新的なエネルギー利用など、まだまだ新たな発想がたくさん飛び出しそうな気がする。

特に、省エネルギー技術が進めば、これまで気にもかけてこなかった、微量なエネルギー源が有効なエネルギー源となってくる可能性を生み出す。

自然共生という観点から、火山地帯の地面に大穴を開けて、熱エネルギーを取り出す以外にもきっともだまだ方法があるはずだ!!簡単には冷やすことなど到底できない、生きている地球のエネルギーだ。地球の意見も聞きながら、ほんの少しだけ分けてもらう。そのためには、もっともっと地球を知って、地球から学び、地球と語りあう必要があるはずだ。





2009年7月17日金曜日

5つのエネルギー起源(3)太陽エネルギーのストック

5つのエネルギー起源の2番目は

”ストック”された太陽エネルギー=化石エネルギーだ!!

化石燃料 特に 石油に関しては
その生成過程について諸説があるが

基本的に、石炭、石油共に、その生成起源の最も多くは、バイオマス起源
植物や動植物プランクトンの蓄積と変性濃縮によって化石燃料は誕生した。

バイオマスは、太陽エネルギーのフローが起源

太陽エネルギーのフローと一緒に古代の濃厚な二酸化炭素が徐々に地上に蓄えられ、高圧によって変性・濃縮し、エネルギー密度が高まったものが化石燃料だ!!現在のCO2濃度は直物が光合成によって太古の地球の大気中の二酸化炭素を固定し、それを化石燃料として封じ込めたための値なのだ。

化石燃料はエネルギー密度が、本来のバイオマスと比べて非常に高い。よく言われることだが、バイオマスは、広く散らばっていて、しかも、水分を多く含み重い。また、形状や組成も多様で、利用方法が複雑である。

バイオマスに比べると化石燃料は、性質も安定しており、集積しており、燃料効率も高い、また輸送性と保管性により優れている。産業革命により、化石燃料の利用法が開発されることで、たった200年程でその利用が爆発的に広がった。

化石燃料の特長は、エネルギー密度の問題だけではなく、その主成分である多様な炭化水素を様ざまな素材原料として活用できるようになってきたことが挙げられる。

産業革命後、化学工業が発達するようになって、原油から蒸留精製されて分離されるいくつかの炭化水素を原料として多様な化学物質が大量に工業製品の素材として提供されるようになった。

現在問題となっている大気中のCO2濃度の急激な増加も、排気ガスによる大気汚染といった公害も、約35億年前に光合成生物が誕生して徐々に地球に堆積してきたバイオマス起源の太陽エネルギーのストックの半分近くの量を、たった200年程で急激に消費してしまったことによるものだ。

さまざまな公害も引き起こしたが、化石燃料は本来、便利で非常に優れたエネルギー源である。もちろん元々は太陽と地球の子供である。化石燃料による大量のエネルギーの利用は、急激に文明を発達させてきた。私達は、化石燃料に関して、使った分だけゴミも出るという単純なことさえ理解しないまま、実に総量の約半分までこの資源を食い尽くしてしまった。

私達ができることは、化石燃料の否定ではない。
化石燃料を使って、人類が、学んだ多くのことを最大限に活用して、化石燃料にあまり頼らないで済む新しい生き方をつくることが今必要である。
また貴重な太陽エネルギーのストックである化石エネルギーを、より安全で有効な利用が可能な後世の世代まで持続させるのも私達の仕事であろう。

我が家では、部屋の暖房に灯油を使わずに、できるだけ太陽エネルギーを部屋に取り入れるようにした。ある時、職場で石油ストーブあたった時、石油ストーブの火が、甘いと感じられた。
この甘さに、つかりっぱなしになった状態が化石燃料病なのかもしれないと今思う。

化石燃料病を絶つには、一度、化石燃料病にかかっていない状態を確認しておく必要がある。


できるだけ今の豊かさを維持しながらの低炭素社会なんてことばを聴くとぞっとする。

今の豊かさは化石燃料病にかかっている豊かさだからである。
低炭素社会をつくるということは、化石燃料病に自分達がかっていることに気がつき、
化石燃料病から自分達を救うあらゆる試みだからだ。

従って、低炭素社会にたどり着くためには、必ず守らなくてはならない順番がある。
①は省エネや省資源
資源とエネルギーを節約した生き方を実現した上で
②代替エネルギーを検討
することが重要だ。
②で代替エネルギーを検討して、自分達は、化石燃料病を維持しようとすると代替エネルギーの生産のためにさらにエネルギーと資源を消費し続けるパラドックスに陥ってしまうからだ。

世の中に甘い道はない
化石燃料病から抜け出す時にはちょっと辛いのだが
その先には、心豊かで愉しい道が用意されている。

まずは、生き方から変えてみよう!!


2009年7月14日火曜日

5つのエネルギー起源(2)太陽エネルギーのフロー(バイオマス)

太陽エネルギーのフローの地球上での滞在形態の重要なもう一つが”バイオマス”だ!!

バイオマスは、生物資源という言葉が日本語訳としてあてはめられているが
バイオマスは、資源という意味だけではなく、植物体や動物の体や排泄物など、(地球上に住む)生物体のすべてを対象として指すことのできる言葉だ。
だから、僕の体もバイオマスであり、菜の花の花や茎や実もバイオマス、牛や豚のおしっこや糞もバイオマスだし、ミジンコや池の中の微生物、はたまた、太平洋の鯨や、カジキマグロ、磯のアオサやイソギンチャクなんかも皆なバイオマスだ!!

毎年植物が光合成で固定できる太陽エネルギーの量は
太陽エネルギーのフローの0.1%
ただ0.1%といっても世界全体の1年間の消費エネルギーの10倍のエネルギーだ!!

植物の光合成は同時に大気中のCO2太陽エネルギーと共に固定する

植物は、それを食べる動物などバイオマスは、枯れたり、死んで腐敗して分解する時にCO2を再び大気中に吐き出す。

植物の光合成で蓄えられたエネルギーは、ほんの一部は、薪のように直接燃焼され、再び空気を暖めたり光のエネルギーになって宇宙に飛び出し、
多くの太陽エネルギーは、エネルギーは、植物や動物を食べる他の生物や非常に多くの微生物によって生きる糧として消費され、生体内の化学反応に用いられ運動エネルギーや熱エネルギーに転換された後、やはり熱エネルギーとなって、大気へと放出される。

だから、キャンプで薪を燃やした時の熱や炎の明かりも、源をただせば、太陽エネルギーのフローであるし、私達が、ご飯を食べて毎日の仕事や子育て、読書や、かけっこに使っているエネルギーもすべて太陽エネルギーのフローなんだ。

バイオマスエネルギーは、太陽エネルギーの内、光合成に利用できる、一部の光エネルギーが、糖という形で化学エネルギーとして固定されたものだけれど、ほとんどの生き物を直接、動かし、活動させているエネルギーは、ほぼ完璧に太陽エネルギーのフローが起源なので、実は、私達、生物は、仮に石油がなくても、毎年ちゃんと降り注ぐ太陽エネルギーがあるならば、生命活動を続けることができるのである。

石油だらけで食べ物を生産や輸送はしてはいるけれど、結局、私達を生き物として生かしているエネルギーの源は、バイオマスであり太陽エネルギーのフローだったんだ!!

このことは、これから石油を中心とする化石燃料への依存を減らす”低炭素社会”を作ろうという私達にと非常に勇気を与えてくれる。

これまで、『学校では、石油がなければ生きては行けない』って教わってきたのが、実は、『ちゃんと毎日、地球上、ばらつきはあるけれど、一人ひとりに公平に降り注ぐ太陽と、それで育ったバイオマスがあれば結局は生きて行けるんだ』に考え方の変化が起こったんだから・・・

あとは、それをどう実現すればいいのかを考え、少しずつ実践し身につけていくだけ

大勢の人を変えることは簡単ではないけれど、身近なところから、自分の生活を変えていくことは簡単なことだから!!



バイオマスに非常に大きなスペースを割きバイオマスのエネルギー的な側面について示してきたが、バイオマスには、エネルギー以外にも、CO2の貯蔵庫としての役割、酸素の供給源としての役割、多様な生物が生きる多様な環境を生み出し、生命が生きる場所を生み出す役割、分解者としての機能等様ざまな重要な特長がある。

持続可能な低炭素社会という側面から見ると、物資循環、自然共生、安全安心という重要な要素と不可分に結びついているため、バイオマスについては別の項目を設けてさらに議論を深める必要があるだろう。





2009年7月13日月曜日

5つのエネルギー起源(1)太陽エネルギーのフロー

5つのエネルギー起源

低炭素社会を考える上で、大切な基礎知識がある。

その1つが5つのエネルギー起源

私達が地球上で暮らす以上、
私達には与えられた利用可能ないくつかのエネルギー起源がある。

これは、地球に住む以上、私達がどうしようもない”地球の掟”

エネルギー起源には5つある。

風力、太陽光、バイオマス、水力・・・・
これで4つ!!

と答えるかもしれないが、実はこれは、違う。
風力、太陽光、バイオマス、水力
は皆まとめて、太陽エネルギーのフロー。

毎年、毎年、太陽からのエネルギーの放射が、地球を駆け抜けて行くときに引き起こす、
様ざまな”仕事”

光のエネルギーが、大気や地上に到達し熱エネルギーに変わり、空気を暖めて体積を増やしたり、対流を引き起こしたりすることで生まれるのが”風”
風力エネルギーの正体は太陽エネルギーのフローだ!!


それでは 水力はどうだろう?
地表や海面に届いた太陽光は、熱エネルギーに変わり、風が生まれることと同じように
海水や、土壌の水分を温める。
暖められた水分は、一定の熱量を与えられると蒸発し
空気の流れに乗って、大気の中の様ざまな場所に移動する。

また鬱蒼とした森の上にも降り注ぐ光の熱は、樹木の葉をも暖め
植物は気孔から水分を蒸発させ、葉が枯れてしまわないように葉面の温度を低下させる
植物から蒸発した水分も同じように大気の中を様ざまに移動して再び雨となって地表に降り注ぐ。

この時、地表の山々など、より高い場所に降り落ちた雨が水力エネルギーの源だ!!

水力は、光と水と風の力と、たまたま降り落ちた場所の位置が高く回収し易かったという偶然で、
私達の手に入ることになった自然エネルギーであり、その源を辿ってみると
もちろんそれは、風と水分の蒸発や植物の蒸散を引き起こす太陽エネルギーのフローである。
太陽エネルギーのフローは、直接的な熱エネルギーとしても、水蒸気の潜熱としても
はたまた、大気の膨張や対流といった機械的なエネルギーにも転換する














2009年7月7日火曜日

地図を眺めてみよう!!(持続可能な低炭素技術開発)


地図を眺めてみよう!!

地図といっても低炭素な技術開発の探検地図

未踏峰の山脈、丘、湖が、あちらこちらに広がっている。


条件は
●低炭素
●循環型
●自然共生
そして
●安全・安心

目的地は
●気候変動の緩和
●気候変動への適応
●自然資本の回復と保護
●現代社会の抱える様ざまな問題解決
●持続可能な社会の構築

中間地点までの目標到達年限は
●約40年

現段階で地図に書き込まれている情報はこれだけだ!!

ルートを探して、答えを出すのは
僕達一人ひとりだ

--------------------------------
持続可能な低炭素社会の技術開発を言葉で書き表せばこの通り

持続可能な低炭素社会づくり
の全体像を
一枚の大きな地図として眺められるようにしたのが下の図!!
40年間で取り組まなければならない課題を
グリーンの実践項目
持続可能な技術開発の手法を
4つの社会像の輪から成る
図を用いて説明した。

この図の用い方は簡単
自分の取り組んでいる仕事や技術を
持続可能な低炭素ビジネスや低炭素技術に
革新していくためにはどうしたらよいのかを
この図の上に、どんどん書き込みながら考えていくというもの

考えられた持続可能な低炭素ビジネスや技術が
実際に、安全・安心で
自分達が取り組まなければならない
グリーンな実践項目と
どう関係してくるのかを
関係する線を
どんどん描いては消して
地図を使ってどんどん検証していく








例えば
電気自動車を例に見てみよう

電気自動車を持続可能な低炭素技術に近づけていこうとすると電気自動車はCO2の排出が少ないので低炭素、しかしエネルギー源として火力発電所の電力を使ってしまっては、逆にCO2の排出を増加させてしまう。
 そこで、エネルギー源に風力を使ってCO2を出さない自然エネルギーを使った電気自動車利用システムを考える。十分な立地条件を確保できるかの課題が残るが、このことは同時に、電気自動車システムが自然共生社会の社会システムであるという条件をクリヤーできる。
 さらに、電気自動車をどんどん大量に生産し続ける仕組みを作るのではなく、少ない台数の電気自動車を多くの人でシェアーし、壊れても大切に修理しながら利用するしくみとしての、カーシェアリングとリペアーのシステムを導入する。モノを大切に使う、資源を節約し、有効に使う。修理してメンテナンスされた
安全で安心な電気自動車を最大限に利用して、人の自由な移動を確保しながら、生産と資源を節約し、エネルギー消費によるCO2の排出を低下させる手法だ。
 実際には、公共輸送機関の活用や自転車や徒歩の利用など、さらに持続可能な仕組みも考えられるが、ここでは、いくつかの技術と社会技術を組み合わせることで実現可能な持続可能な低炭素技術の一例として風力+電気自動車+カーシェアリング・カーリペアーを提示した。

 さらに、この持続可能な低炭素技術が、5つのグリーンな実践項目とどのように関係づけらるのかを検討するわけだ。例えば、現代社会の問題解決の部分では、電気自動車を整備したり、シェアーしていくための社会の仕組みを整備できる、これによっていくつかの新しいグリーンジョブが生まれる。電気自動車は、ガソリンスタンドの経営という雇用環境を減少させていくかもしれない。このような取り組みが転換の事例になっていくのかもしれない。事実、事業所としての立地、給油設備や洗車設備、自動車のメンテナンス技術を経営資源として抱えるガソリンスタンドが、カーシェアリングへの転換を開始している。この場合、電気自動車の電力源に、グリーン電力を導入することも可能であろうし、給油所チェーンが、一括してどこかに風力発電所を自前で用意し経営するのも良いだろう。
 また、自然資本の保護と再生に関しては、グリーンツーリズムと結び付けた取り組みも有効であろう。田舎や山村で、排気ガスを一切排出しない電気自動車を走らせる取り組みと何らかの方法でつなげていくのも良いのではないだろうか?
 様ざまな関係性を地図の上にどんどん書き込んでいくことで
低炭素で、モノを沢山消費しなくても成り立つ経済を発見できるかもしれない。
現代の高炭素消費、資源浪費型の経済が徐々にクールダウンした後
活発に人間らしい生き生きとした活動が活発化する低炭素経済をこの地図を使って生み出していこう!!
 地図をつかって考えて、この部分が足りないんだよなと考えたなら
だれか、ここを助けてと、問いかけてみよう!!
 解決方法は、様ざまな人生と結びつた人間の頭の数だけ存在するはずである。

低炭素、循環型、自然共生、安全安心という関門の中で
現在の技術や社会の仕組みの中で
持続可能な社会という関門を通過できるモノは
非常に限られている。

しかし、限られた、技術や社会の仕組みを使って
人間が作り上げる社会の姿は、人と社会やコミュニティーの数だけ多様で広がりがあるはずである。

私達にできることは、この地図を使って、一つの狭い登頂ルートを発見し突破することである
その先に、どのような展開が待っていようとも恐れずに向き合おう!!

地図を眺めてみよう!!

今自分達が取り組んでいることが本当に”エコ”なことなのか

グリーンを実践していけるためには、どのような筋道をいくつ描けるのか

いろいろなことにこの地図を使って欲しい!!






2009年7月4日土曜日

地域とサテナビリティーの理論(3)

サステナビリティーに働きかける力(本気)

サステナビリティーに働きかける力とは一体どのようなものだろう

これまで説明してきたように
サステナビリティーが
私達の身近に常に存在し
私達の生活と社会を支えているのだとしたら

サステナビリティーに対してどのように働きかければ
サステナビリティーは、その働きかけに答えてくれるのだろうか?

私は、サステナビリティーには2つのモード(相)があるのではないかと考えている

一つは頑ななモード
サステナビリティーは持続性である。
持続性には安定性という一面が存在する

たとえば家庭のサステナビリティーを例にとってみよう

家庭のサステナビリティーの所在は
通常おとうさんやおかあさんという存在だ

世の中には変わったお父さんやお母さんもいるとは思うが
子供達にとってみれば
通常、親というものは頑固で融通がきかない存在だ!!

あれがしたい、これがしたいといっても 
簡単に、「はいそうですか」といくためしがない。

かたくなさとは、変化を嫌い、安定性を生み出す仕組みでもある。

何でも新しい変化に追づいしていては、
方向性を見失って安定性を生み出すどころではないからだ

でも、もし、子供の「これがしたい」という思いが

決していい加減な気持ちではなく
本気だったとき
親が何回言っても聞かず
どうしてもそれがやりたいと言い出したとき

私達は、何回か、その本人の本気を確かめた上で
「それほどまで言うなら話を聞こう」
ということになる。

私達親の心を子供が動かしたのだ

サステナビリティーには本気のモードがあるのだと思う

お父さんとお母さんの間で何らかの話し合いが持たれるかもしれない

サステナビリティーは本気になれば自らを変容させる力を持つ

サステナビリティーの持つ、
”頑固さ”と
”本気になる”という
2つの相が

安定性と
内部変容による環境適合性
を生み出し、
持続性という結果を生み出している

家庭に限らず、社会や企業、経済においても
この考え方は通用する

現在、会社や社会を支えている真っ只中にいる人は、
変化を嫌い現状の持続を維持しようとするだろう

一方で、
現状からはみ出した様ざまな課題を目の当りにすることの多い
弱者、周辺、境界部に存在する様ざまな人々、生き物、環境は
真っ先に、大きな変化の兆しを感じ、
時によっては、その変化の痛みに耐え切れず
中心に向かってメッセージを発する。

通常は、現状を維持することが忙しい中心部には、
その声は蚊のなく程度にしか響かないかもしれない

しかし、周辺部から発せられるメッセージは、
メッセージが発せられる理由があるからこそ発せられるため
理由が解消されない限り、徐々に大きくなっていく

このメッセージが中心部に届き、変化が確実なものだと中心部が確信したとき
はじめて、現状が変わり始めるのである

もし私達が周辺にいるのだとしたら、私達は本気で、
現状の社会を支える中心部にメッセージを
あきらめずに繰り返し伝え続けることが必要であり
私達のメッセージが本気であることを相手が確信し
本気になってもらうまで続ける必要がある

同時に、私達の努力についても、たとえ相手が本気になっても
現状が実際に好転するまで絶え間なく続けることがひつようだ

相手が本気になって、自分(達)が本気になって
一緒に、本気になって取り組みを始めれば、
私達は自らの立ち位置に立ったまま
世界を、いかようにも革新させうる
変わっていないのは、私達に突きつけられた条件と制約だけである。
条件と制約は、私達自身が変わることで、
その条件と制約に対して
私達が与える意味そのものが変わっていくのである




地域とサステナビリティーの理論は、革新を生み出していく
まだまだ一方通行な理論である。
本気になって自らが、相手と一体になって変わっていくため、
後戻りの道は決して用意されていない

もちろん、簡単な道ではないが
実は、案外、私達が日々続けている道でもある









地域とサテナビリティーの理論(2)

持続性(サステナビリティー)を生み出す仕組みとは?

大学院の修士課程の学生の時に、ある山村の調査を行った。
山の再奥の伝統的な集落で、人口減少せずに残っている集落だ。

もともと単独の村落として栄えていた集落で、
山林の共有組織としての森林生産組合と
自治組織としての”ムラ”が一体化していることで
自治的な寄り合いの仕組みが機能している

評定など、
集落(組合)で保有する山林利用の分配、
制限に関する取り決めを行うなど
現実的な問題解決能力をもった集まりが生きている

この集落の特長は、伝統的にその集落が利用してきた山林の共同所有と利用が、
集落の運営と一体化していることで、
多くの山村に見られるように
ムラ組織が形骸化し、過疎化し、限界集落化する方向性を
たどっていなかったことである。

社会の変化の流れの中で、集落が古い村落の形で持続されいると感じた


再び、話が飛躍するが
家庭や家族の中でも
同じように、
子供に関する問題や、両親や兄弟に関する問題、
家計の問題など、
数々の課題を話合い、解決する場がある。

夫婦の会話や会議、
家族会議である。
家族の中でや役割を決めて誰かが担当者となって解決する場合もあったり、
だれか一人が一方的に担当者にさせられてしまう場合もあるだろう。
また、時には友人や外部の力を借りることもある。

家が続き、家族が続き、家庭が続くためには、
やはり、内外の環境変化や課題を、
認知し、理解し、解決法を探り、解決策を実施する
(課題の内部化と展開)
仕組みを、私達は普段から活用している


老舗とよばれる長く続いてきた商売(お店)、
伝統的なムラ、
家、
家庭

長く続いてきたところ
身近な私達の生活の中に
持続性とその持続性を作り出す仕組みが存在している

ふと、気がついたことは
私達の生活や社会が、これまで示したような、
様ざまなサステナビリティーで支えられているということ

気候変動問題や持続可能な低炭素づくりについて考える中で
現在の社会が、よりスムースにしかも速やかに
新しい持続可能な社会に移行するためには

すでに、身近に存在していて、
現時点でも私達の生活を、様ざまな目に見えない形で支え続けている
サステナビリティーに、直接語りかけていくことが必要なのではないだろうか?



地域とサテナビリティーの理論(1)

サステナビリティー(サステイナビリティー)とは一体何だ?

持続性や持続可能性が、日本語訳だ

20年程前に、持続可能な開発という考え方から始まったこの言葉を
もう少し、目に見える形、

『ああ、このことね~』と理解しやすい言い表し方はないのか
ということを考えたのが


地域とサステナビリティーの理論でまずはじめにやることが
サステナビリティーの発見である。

サステビリティーが持続性だというなら

身近にあるものの中にサステナビリティーは発見できないだろうか?

例えば
長く続いてきたもの

長く続いてきたのなら、おそらくきっと、そこには持続性があるに違いない!!

お店だったら”老舗”はどうだ!!

以前、地元の商工会塾という講義の中で
ある地域の名門和菓子屋さん老舗の多くには
伝統は革新の連続である』という家訓が
共通して受け継がれているというお話を伺った。

長く続いてきたものが長く続くにはそれなりの理由があった

現在、老舗として残っているお店には、
様ざまな時代や社会、災害などの環境変化の中でも
外部環境の変化に対して自らを革新し
自らの商売を持続させたということ

外部環境を内部化し、
自らを革新したとも言える

長い時間、続けてきたならばなおさらのこと、
その繰り返しは、連続とも言えるほど
数多くのことであったに違いない

少し飛躍してしまうが、
現在、地球上に存在しているすべての生物も
同じように
数多くの環境変化に適応、進化(種としての革新)を繰り返し、
結果としての現在にいたっている

僕達自身も、他の生物も、一つ残さず、
すべて持続性をもった存在だ

経済学でいうなら、外部経済の内部化だ

結果として、将来生き残っている経済は
現在の、外部経済(外部環境)の変化を、
内部化し、
自己革新し、変化に適合し変容した経済が
生き残っているはずである

では外部環境の変化を内部化する仕組みはどうなっているんだろう?











2009年7月3日金曜日

低炭素社会と持続可能な低炭素社会(その2)

私が
低炭素社会と
持続可能な低炭素社会について
明瞭な差異を持って考えるよことができるようになったのは

いくつかの人との出会いと勉強のプロセスがあった

始めに低炭素社会という言葉を知ったのは
環境省2050年脱温暖化プロジェクトチームへ、自分達の商工会の取り組みをメールした時期
気候変動緩和策としての”低炭素社会”という概念に初めて出会った。

次に出会った人物は、茨城大学ICAS機関長の三村信男教授
気候変動適応策の日本のリーダーだ。

これによってただ単に”自分達が取り組んでいく未来の世界としての低炭素社会”という概念には
気候変動の緩和策と適応策という2つの概念が要素として含まれなければならないのだなということ
がわかった。

もう一つ、出会いという程ではなかったのだが、東京大学総長の小宮山宏先生
バイオマスアジアというシンポジウムで、基調講演をした時に聞いた話で紹介していた「地球持続の技術」という本を読んでみた。

セヴァン・カリス=スズキさんのスピーチも影響された大きな出会いだ。

色々な話、取り組まなければならない課題をまとめながら、少しずつ理解してきたことを並べると
おぼろげながら、浮かび上がった言葉が

持続可能な低炭素社会

このスライドは、僕達の商工会のエコの木プロジェクト部会、発足記念のワークショップで紹介した資料(2008年10月8日)








自分の中に
低炭素社会”と”持続可能な低炭素社会”という2つの概念が生まれた時に
この持続可能な低炭素社会をどうしたら作っていけるのだろう

自分達は何を動機にこの課題に取り組んでいったらよいのだろう

サステイナビリティーが、低炭素社会の理念であると考えるのはこの理由だ