2009年10月28日水曜日

コベネフィット・アプローチの2つの方向性



コベネフィット・アプローチには2つの方向性がある。
一つは縦型の方向性、コベフィットCDMに見られる一般的な温室効果ガス削減手法だ!

この場合温室効果ガス削減を主に置き、最も効果的な削減ポイントに対してピンポイントに対策を行う。この場合コベネフィットは従となる。

一方、横型のコベネフィット・アプローチとは、社会への普及度の高いアプローチを通して、単体では少量ではあるが、積算量としては大規模な削減を目指すアプローチである。

この2つのアプローチは、2つの方向性から共に実施する必要のあるアプローチであるが、長期的かつ自立的な効果の点で、(横)積層型コベネフィット・アプローチの展開をこらからは積極的に検討・展開していくことが有効な温室効果ガス削減手段となってくると私は考えている。

縦型アプローチと横型アプローチの大きな違いは、縦型アプローチが施設や地域に結びつくピンポイント型のアプローチであるのに対して、横型アプローチが、人やコミュニティーに結びついて展開されるアプローチであるということだ。

様々な横型アプローチが展開されていくことで、教育効果や居住環境への手法の積層効果が生まれる。

効果が、人的資源の成長や生活の質の向上として蓄積されてくるため、自律的かつ長期的に継続されうる。

また消費の質の転換を生み出し、新たな低炭素経済の基盤づくりにも影響を及ぼす可能性も考えられる。

2つの異なる方向性だが、縦型は緊急性、横型は緩速ではあるが積層効果による対策のリバウンド効果の減少と積層の相互作用による良質の相乗効果が期待できる。

共に重要な対策手法として位置づけていくことが重要である。





2009年10月3日土曜日

コベネフィット・アプローチを活用したグリーン普及の経済モデル

コベネフィット・アプローチを活用したグリーン普及の経済モデル

開発途上国と先進国との間で結ばれるCDM(クリーン開発メカニズム)で
徐々に定着しつつあるコベネフィット・アプローチ

コベネフィット・アプローチとは、温室効果ガスの削減同時に
雇用の創出など、開発途上国の抱える課題を同時に解決していく
多重便益の同時実現を狙った手法・・・

要するに、1つの取り組みで2つ以上の効果が得られることをコベネフィットという

コベネフィットアプローチは従来、開発途上国を対象としたCDM用語として用いられること多いが

”低炭素社会学”で提案したいのは、世界中のどんな社会をも対象に
コベネフィット・アプローチが使えるのではないかという提案!!

最近発見したコベネフィット

エコ安全ドライブで、燃費アップと交通事故が減少

エコドライブによる省エネという低炭素の取り組みと
交通事故の減少と言う安全・安心の取り組みが結びつき
それらが、経済的にも、お客さんから喜んでもらえる取り組みとしても成果として
結び付けることができる損害保険協会が実践的に社会に提案していることで
企業にどんどん広がっているとのこと

グリーンと経済の自発的かつスピードをもった普及

ヒントの一つがここに隠されているようです。

エコ安全ドライブキャンペーンを行っている日本損害保険協会の会員の
日本興亜損保では、2009年4月からエコ安全ドライブインストラクター制度を創設し
社員や代理店に研修を実施し、終了テストに合格した社員・代理店を
エコ安全ドライブインストラクターとして認定するそうである。

社内制度ではあるが、エコ安全ドライブインストラクトという”グリーンジョブ”を
独自に誕生させ、企業活動として、エコ安全ドライブを企業に普及させ、輸送系の化石燃料の節約と
本業である交通事故の減少を同時に実現させている。

エコ安全インストラクトという仕事が、今後どのような展開をしていくことになるのかはまだ良くはわからないが
保険の営業マンの新しい仕事の一つや、自動車学校の新しい教習の一つとして定着してくることは想像に難くない。
また、エコ安全講習を定期的に受講している企業に対しての自動車保険料の割引サービスなどが誕生してむることも期待できる。

温室効果ガスの削減という目に見えづらいベネフィットを、
例えば

●安全による保険料の割引や、
●交通事故発生発生による企業リスクの低減、
●燃料節約による経費削減効果

などの”見える化”しやすいコベネフィットと結び付けることで
補助金等を必要とせず自発的に取り組みを進めていきやすい
経済的インセンティブのあるコベネフィットアプローチとして発掘し
活力のある経済活動の維持とと創出に結び付けていけるのではないでしょうか?

私達の身の回りの世界の中には、まだまだ、隠れたコベネフィットアプローチがたくさん隠されているような気がします。

それらを、大勢の手で発掘し、かき集め、ベストプラクティスとして社会に広く浸透させ
同時に世界のベストプラクティスを待っているコミュニティーに対して発信していくことが大切ではないでしょうか?

良質なコベネフィットアプローチの普及は、化学でいうラジカル反応のようなものではないかと私は考えています。

すでに、下地の整っている社会に対して、最もよいと思われるやり方であるベストプラクティスを導入すると、
そのベストプラクティスは口コミで瞬時に社会全体に広がると言うことです。

今年、地域でゴーヤの緑のカーテンに取り組みましたが、もともと野菜や植物を育てることが風土として定着している農村地域では、苗を、少し多めに買って配っただけで次々と広がっていきました。
苗を渡された本人ではなくて、おじいちゃんやおばあちゃんなど、苗を育てることのできる誰かがそれぞれの家庭にいるという環境が比較的そろっているという土壌があったため、ほんのちょっとの取り組みのきっかけができただけで緑のカーテンの取り組みがひとりでに広がっていったのではないかと分析してみました。
このほんのちょっとのきっかけづくりと、人から人へ次々と起こる取り組みの伝達が、電子の受け渡しによって瞬間的に反応が次々と全体に伝達されるラジカル反応によく似ているなと考えました。

コベネフィットアプローチの可能性は、まだまだたくさんあるような気がします。

是非皆さんも、身近なコベネフィットを発見してみてください!!