2009年6月27日土曜日

低炭素社会と持続可能な低炭素社会(その1)

低炭素社会と
続可能な低炭素社会について(その1)

低炭素社会を考える上で、はじめに整理しておかなければならないことは

気候変動緩和策としての
低炭素社会
広義の低炭素社会社会の概念である
持続可能な低炭素社会
という2つの概念

低炭素社会学では、この両者を差異を含めて考えてみる必要がある。

もちろん、低炭素社会そのものが、まだまだ未知の分野
考えることを通して方向性を模索していこう。

この図は環境省の提示する
第二次循環型社会形成推進基本計画に示されている持続可能な社会に向けた取り組み展開の図である。


低炭素・循環型・自然共生という3つの社会像を統合することで持続可能な社会を作ろうという考え方


この図の読み取り方は、読み手の様ざまな視点によって変わってくると思うが

私の場合は
◎自然共生社会=自然の活用と保護・回復、人間自身も自然の一部であることの再認識
◎低炭素社会=エネルギーの節約
循環型社会=資源の節約
と理解した
この3つの社会像を同時に実現できる社会像(持続可能な社会)に近づけるように、
現在の技術や社会の仕組み、生活の仕方を転換していけばいいんだなと読み解くことにした。

私が自然共生社会・循環型社会・低炭素社会の3つの社会像を統合した持続可能な社会作りの概念について初めて触れたのは、
2007年6月に日本政府で閣議決定された21世紀環境立国戦略の中

第二次循環型社会形成基本計画は、このストーリーを政策に落とし込んだもの。




次に、示した図は、


茨城大学ICASのメンバーの方々が執筆して作った
「サスティナビリティー学をつくる」 三村信男・伊藤哲司・田村誠・佐藤嘉則編著  2008 新曜社


からコピーした持続可能な社会の実現に向けてという題名の図


21世紀環境立国戦略、第2次循環型社会形成基本計画に示された
3つの社会像に加えて


◎安全・安心社会
という4つ目の社会像が 3つの社会像の根幹として付与され提示された。


この4つ目の安全・安心が実は非常に重要な視点の展開


はじめに示されていた3つの社会像は
◎次世代をも含めた将来を見渡しての安全・安心を確保して行くための
低炭素社会・循環型社会・自然共生社会と位置づけることができる


一方で

実際にこの図をもとに持続可能な社会を構築していこうと思えば
◎安全と安心の確保という視点をおろそかにしては本当の意味での持続可能な社会の実現ではない
という理解もできるからだ


安全・安心社会という視点が提示されたことで、
エネルギーと資源を同時に節約する自然共生社会という視点

現在及び将来、未来のどの時間軸においても、
人間が安全で安心に暮らせることが
持続可能な社会の構築の前提に据えたれたわけである。

この安全・安心社会という視点を通して
無機質に感じられた3つの社会像に、人間や社会との関わりがしっかりと明示され

低炭素・循環型・自然共生型であっても安全・安心ではない社会
たとえば、
◎人間や他の生物の生命に有害な物質は放出していたり
◎児童など弱者の非人間的な労働で成り立つ仕組みで成り立っているなど、
社会やコミュニティー、人間性の否定につながる行為に直接的・間接的に繋がっているならば
本来の持続可能な社会の実現という理念から遠く離れていってしまうといった
構造も、この図式を使って議論することができる。
また、同様に
一度環境に放出されると、除去することが困難な放射性物質の問題や
利用する燃料のウランが枯渇資源である原子力エネルギーの問題についても、
安全・安心という視点を入れることでしっかりと
この図を元に議論することが可能である


安全・安心の視点は、ILOの提唱した
”グリーンジョブは、『健全で働き甲斐のある人間らしい仕事』であるディセントワークでなければならない”という条件
ともつながっており、

私達、人の安全・安心を意識し、確保していくことが
持続可能な社会をつくる取り組みの必要条件であることが解る。




次の
低炭素社会と
持続可能な低炭素社会について(その2)
では、さらにこの図を活用して、持続可能な低炭素社会について考えてみる